夜、悠二兄さんから電話があった
分かってたから不思議と『悲しい』なんて感情はなかった
悠二兄さんの戸惑った声が聞こえた
早く切りたい、悠二兄さんの声を聞きたくない
そんな気持ちが私を強くしたのかもしれない
ピッ
私は直ぐに電話を切った
一息つくと、沸々と嫌悪感が出てきた
人が死んだのに、しかも身内が死んだんだ
なのに涙1つ流せない
薄情という度が越えすぎている気がする
もう、ある意味笑えてくるよね
『お前はっ、!悲しくないのかよ!じいちゃんが死んだぞ!』
そんな言葉が脳裏に焼き付く
小学2年生の時だ、おじいちゃんの死に様を見たのは
あの時は悲しくてずっと泣いてた
でもそのときはまだおじいちゃんは生きていて、おじいちゃんは不思議そうな顔をしていた
でもそのずっと後、あぁ、おじいちゃんが死ぬのは『どうしようもないこと』なんだなって思った
人間はいつか『死ぬ』
それがおじいちゃんのその時なんだなってわかった
だからもう悲しくなくなった
こんなとき、『救えたんじゃないか』って、『助けられたかもしれない…』………なんて
無理だって理解して、寿命なんだって考えて
ちゃんと自分のなかで答えを出したはずなのに………
やっぱり嫌いだ
両親も、
悠二兄さんも、
おじいちゃんも、
学校の人達だって………
私を置いていく皆が嫌い
でもそれ以上に、なんにも出来ない自分が一番












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!