第30話

第30話:“切りたくない。”
75
2026/06/20 09:00 更新
夜。

お風呂も終わって、部屋でベッドに寝転ぶ。

でも。
あなた
(……なんか落ち着かない)
昼間のこと。

帰り道のこと。

全部思い出す。

そのとき。


📱《着信 りうら》
あなた
「っ……!」
心臓が跳ねる。

急いで通話ボタンを押す。
りうら
「……もしもし。」
低くて、少し眠そうな声。

それだけでドキドキする。
あなた
「もしもし!」
りうら
「……元気だな。」
少し笑ってる。
あなた
「どうしたの?」
りうら
「……声聞きたくなった。」
あなた
(……っ!!)
無理。

開始10秒で心臓終わる。
あなた
「だ、だって今日会ったじゃん……」
りうら
「会った。」
あなた
「じゃあなんで……」
少し沈黙。

そのあと。
りうら
「……足りなかった。」
あなた
「っ……」
あなた
(なにそれ……反則……///)
布団に顔を埋める。
りうら
「……あなた。」
あなた
「な、なに……」
りうら
「今、顔赤いだろ。」
あなた
「なんで分かるの!?」
りうら
「分かる。」
声がちょっと楽しそう。
少し沈黙。

でも嫌じゃない。

むしろ落ち着く。

電話越しに、相手の呼吸が聞こえる。

それだけで、近く感じる。
りうら
「……今日さ。」
あなた
「うん?」
りうら
「正直、ちょっと不安だった。」
静かな声。

いつもより素直。
あなた
「……あの人?」
りうら
「ん。」
短く返事。
りうら
「お前、優しいから。」
りうら
「取られそうで嫌だった。」
胸がぎゅっとなる。
あなた
「……大丈夫だよ。」
りうら
「ん?」
あなた
「私が好きなの、りうらだけ。」
静かに伝える。
数秒、沈黙。
あなた
(……あれ)
あなた
「りうら?」
りうら
「……今それ言う?」
声、低い。

でも少し掠れてる。
あなた
「だ、だって本当だもん……」
りうら
「……無理。」
あなた
「えっ」
りうら
「好きすぎて困る。」
あなた
「っ……!!」
心臓、完全に壊れる。
りうら
「……理性飛ぶって。」
あなた
「で、電話だよ!?」
りうら
「電話でも飛ぶ。」
即答。
あなた
(なにこの人……)
好きすぎる。
りうら
「……会いたい。」
ぽつり。

小さな声。
あなた
「……いま?」
りうら
「いま。」
あなた
「無理だよ〜……」
少し笑う。

でも。
りうら
「……俺は本気。」
その声が、やばい。
りうら
「……あなた。」
あなた
「なに?」
りうら
「好き。」
突然すぎる。
あなた
「っ……!」
りうら
「今日ずっと言いたかった。」
りうら
「声聞いたら、余計無理。」
あなた
(メロすぎる……)
あなた
「……私も好き。」
りうら
「知ってる。」
あなた
「えぇ……」
りうら
「でも聞きたい。」
少し沈黙。

そのあと。
りうら
「……もう一回。」
あなた
「えっ」
りうら
「好きって言って。」
あなた
(無理無理無理……)
でも。
あなた
「……好き。」
あなた
「りうらが、一番好き。」
電話の向こうで、
小さく息を吐く音。
りうら
「……やば。」
あなた
「え?」
りうら
「今すぐ会いに行きたい。」
あなた
「行かないでください!?」
少し笑い声。

でも本気っぽい。
気づけば、かなり遅い時間。
りうら
「……そろそろ寝るか。」
あなた
「うん……」
でも。

切るのが寂しい。
りうら
「……あなた。」
あなた
「なに?」
りうら
「切りたくない。」
その一言で、胸がいっぱいになる。
あなた
「……私も。」
小さく答える。
少しだけ静かな時間。

でも嫌じゃない。
あなた
「……寝落ちする?」
りうら
「お前が先なら。」
あなた
「え〜」
りうら
「……声聞きながら寝たい。」
もう無理。

好き。
あなた
(こんなの、幸せすぎるよ)

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