放課後、隣のクラスに行ってタカちゃんに声をかける。
タカちゃんは私がずっと片想いをしている幼なじみだ。
タカちゃんは手芸部の部長で、私はバスケ部。
私の部活が休みの日は手芸部に遊びに行って一緒に帰るのが楽しみだったりする。
タカちゃんはみんなに指示を出してから、自分でもミシンを使って作業を始めた。
私はタカちゃんの隣に座って机に頬づえをつきながら、ミシンに向かうタカちゃんを見つめる。
タカちゃんは私をみてニッコリと笑うと、またミシンに視線を移した。
ふと窓の外を見たらグラウンドでサッカー部が他校との練習試合をしていた。
運動部な私はその試合も気になって、タカちゃんの後ろに自分のイスを移動すると窓の方に向かって座って試合を見始めた。
白熱した戦いに興奮して小さな声で声援を送っていた私にタカちゃんが問いかける。
イスを傾けてタカちゃんの背中にもたれかかれば、タカちゃんは慌てて私を元の位置に戻した。
タカちゃんは呆れ顔で私を見てため息をついた。
タカちゃんはまるでルナとマナにするみたいに私の頭に手を置いて言うと、部員の女の子の所へと向かった。
同い年なのにどこか大人なタカちゃんはいつも私を子供扱いする。嬉しいけど、それ以上の関係になれない気がして切なくなった。
女の子の後ろから手を伸ばして縫い方を教えているタカちゃんは、女の子と距離が近くてなんだか気に食わない。
戻ってきたタカちゃんは、そう言って私の頬を突っつくと、また自分の制作に取り掛かる。
舌を出してドヤ顔すれば、タカちゃんは棚にあった裁縫セットを持ってきてくれた。
挑発的なタカちゃんを見返そうと私は生地を選んで裁断して、早速手縫いしていく。
針に糸を通して縫い始める。
我ながら完璧な縫い目に惚れ惚れしながら、サクサクと縫っていく。
はずだったのに・・・
針で指を刺した私を呆れ顔で見るタカちゃんは、こんな未来を知っていたかのように言う。
タカちゃんは私の手を取って、針を刺した指を舐めた。
たった一瞬なのに大きく高鳴る心臓。
触れられている手からそのドキドキが伝わってしまうんじゃないかってくらい激しく脈を打つ。
照れくささと恥ずかしさでタカちゃんの顔が見れない私をよそに、私の前から裁縫セットを片付けた。
それから部活が終わるまで私はタカちゃんが舐めた指を見つめながら、高鳴る心臓を抑えることに必死だった。
部活が終わって部員を見送ったタカちゃんとふたり、薄暗くなった廊下を歩く。
さっきのことが頭をよぎって赤くなる顔をそらした。
何も考えずに向けた視線の先には、練習試合のあとのクールダウンをしているサッカー部がいた。
そう言ったとき、表情が少し曇ってみえた気がした。
"好きな人がいる" だなんて事実を初めて聞いた。
それだけで泣きそうで、好きな人のことなんて聞きたくもないのに、幼なじみを演じたい私の口は勝手に話を続ける。
止まれって必死に心で願っても私の口は止まってくれない。
その一言で失恋が決まった私。
今更遅いのに、こんな話をしてしまったことに後悔した。
必死に堪えるのに流れ落ちる涙。
もうどんなに頑張っても止めることが出来なかった。
見られないように必死で体の向きを変えるけど、タカちゃんによってまた向きを変えられて、腕の中へと包まれる。
そして、まるで赤ちゃんをあやすみたいに背中をトントンと叩かれた。
図星なのに、振られることが分かってるのに好きなことをバレたくなくて嘘をついた。
タカちゃんを押して離れようとするのに、それよりも強い力で抱きしめられて腕の中から抜け出すことが出来ない。
タカちゃんの好きな人の話なんて聞きたくないのに、話を続けるタカちゃんは意地悪だ。
早く離れたくて胸元を何度も叩くのに、タカちゃんは一向に離してくれない。
失恋した上にまさかの同性愛をカミングアウトされて、私はさらに声をあげて泣いた。
頭を掻きながら言ったタカちゃんは顔が真っ赤で、今度はタカちゃんが顔を横にそむけた。
タカちゃんの唇で塞がれて、私の言葉はこれ以上出ることがなかった。
唇が離された後、静まり返った道。
心臓の音が聞こえるんじゃないかってくらい鳴り響いている。
幼馴染みのタカちゃんと想いが通じた日は案外あっさり過ぎ去った。
ー1週間後ー
バスケ部の練習終わり、ひとりで自主練をしていた体育館に現れたタカちゃんは私に紙袋を渡した。
中身は・・・
一緒に生地を買いに行ったブランケット。
私の好きな色でステッチされていた。
紙袋の中を確認したら、見覚えのある生地。
1箇所だけガタガタに縫われた部分と、それ以外は買ってきたみたいに綺麗に縫いあげられた巾着。
自分が縫ったところとタカちゃんの縫ったところが悲しいほどにハッキリ分かるその仕上がりに思わず吹き出す。
笑われたことが悔しくて頬を膨らませて怒れば、その顔を見てタカちゃんは笑う。
はにかんで笑うタカちゃんに、私は素直に伝えたくなった。
タカちゃんの名前を告げると、タカちゃんは私を抱きしめてキスをした。
fin.
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三ツ矢の初小説〜!
みんなが恋する三ツ矢くんですよー♡(?)
言わせたいセリフとやらせたい事がありすぎて
長くなりすぎました😂
なんじゃこりゃの終わり方笑
いいねやコメントくれたら嬉しいです!
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!