─────「早く起きろ!!」
元奴隷の少年───ドイツは飛び起きた。商人の男の乱暴な声が聞こえた…気がしたのだが、気のせいだったみたいだ。
少し荒くなった呼吸を整えると、周りの景色が見えてきた。
一般的な家屋のリビングという感じだ。
カーテンの隙間から漏れる光を見て、今は朝だとわかった。
タイミングよく、部屋の奥のドアが開く。
入ってきた男は起きたドイツを見ると、早足で近づいた。ドイツは少し男と距離を取る。
男は慣れない様子でこちらに話しかけてきた。
奴隷から養子にしてくれたとはいえ、この男の人物像がよくわからない以上、まだ簡単に警戒は解けない。
子供となんて触れ合ったことないから、どう接していいのかよくわからない。きっとドイツくん10歳前後ぐらいだろ…?
ドイツは頷いた。
あなたはテーブルの上の料理───自分の朝食を指さして言う。
そう、あの大量の金のこと。どうしよホントに。
まだ信用されていないようだった。そりゃそうか。
自室。
目の前に積み上げた大量の札束。歴史の教科書で一度は見たであろう、札束で遊ぶ子どもみたいな絵面になっている。
元々、あなたは無欲な方だった。この大金の使い道なんて、普通に暮らしていたら無いだろう。
今日から朝昼晩メシ2人分だし。
あなたはお札をサイフに詰め込んだ。
リビングに戻ると、ドイツはまだ朝食を食べている途中だった。
─────朝。市場。
ということで。あなたは市場にやってきた。
まだ人は少ない。
市場のおっちゃん、おばちゃんたちは朝から声を張り上げて売り出している。もうだいぶ高齢だろうに、若者より元気だ。
とりあえず、食べてなかった朝飯を買い食いしてから、好物を食べ切れる分だけ片っ端から買っていく。市場に来て三十分も経っていないのに、すでに手荷物が重すぎる。
あなたはしばらく朝市で買い物をした。
重い荷物を持って1時間以上歩いていたあなたは、さすがに疲れてきた。一旦近くの広場で休もうと思い、広場のほうに向かう。と───。
広場から聞こえてくる怒鳴り声。通行人が広場を避けていく。広場には、ゴツい体つきをした男性と、同い年ぐらいの青年がいた。
巻き込まれたくはないが、この重い荷物を持って立ち往生もしたくない。騒動はガン無視して、広場のベンチで休もう。
取り立て人?のような人が去っていく。
取り立てられていたひとは、膝から崩れ落ちた。見事な崩れ落ち方だ。後世に語り継がれるだろう。
思わず話しかけてしまった。一部始終を知っていたのに。騒動に巻き込まれたくないと思っていたのに。
二人はベンチに揃って座った。
取り立てられていた青年の名前はイタリアというらしい。
心配そうにこちら見る。
彼は自嘲気味に笑って、「800万」とつぶやく。
声が震えていた。
絶望をにじませた声で、絞り出すようにそう言う彼。同年代ぐらいなのに、自分とは比べものにならないことで悩んでいるのを見て、心が痛くなった。
自分までやるせない気持ちになってくる。
あなたはそっとイタリアの背中をさすった。
自分の悩み。それはなんだったか?
ビジョンが見えた。
俺の悩みも、彼の悩みも解決できるビジョン。
俺の家にある金。現時点でざっと数えて億単位。
ビッグ消費チャーンス!!!!!
どうやら俺はツイていた!













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。