4人と1匹は宿屋で一泊過ごし、またお城を目指して旅を再開していた。
着実にお城へ近づくにつれ、魔物の量が一段と増えているのを痛感する。
その魔物達の個々の力は大して強くないが、数が増えると話は別だ。数が増えるだけでも厄介性が増し、体力を多く消耗させられてしまう。もし、今強力な怪物にでも出会ってしまえば、確実にやられてしまうだろう。
一旦体力をつける為に早めの昼食をとることにした。
今日の昼ご飯は、サクラ特製のゴブリンサンドウィッチとガンメンガの蜜と苺のスムージーだ。
彼女の料理はいつ食べても相変わらず美味しい。
和気あいあいと食事をとっていると、スイは突然後ろに振り向き、芝生に置いていた杖を手にとる。
彼女は近くに何物かの気配を感じたようだ。
スイはこの4人の中で一番すぐに気配を察知できるようで、魔物の奇襲で何度もお世話になっていた。
彼女いわく、魔物ではなく人間のようだ。
その言葉を信じて気配のする方向へと向かった。
向かった先には椅子に腰を据え、クロス掛けのテーブルに料理を並べる黄髪の男性がいる。男性はフォークとナイフを器用に使い、料理をゆっくりと口へ運ぶ。
その美味しさに感動したのか、大きく独り言を呟き、白目を向いたまま涙を流している。色々とヤバそうな人だが、危害を加えるような雰囲気ではなさそう。
勇気を出して不審者に声を掛ける。
有名な音楽家に似た髪型をした黄髪の貴族に近い服装をした男性であった。
美食家とは、あらゆる地域にあるお店の料理を評価する職業であり、美食家が満足すればその店は繁盛し、その逆に気に召さなければその店は潰れるという噂がある。
彼が食べていたのは、しっとりとした質感が目立った薄黄色のケーキ。ほのかにチーズの芳香が鼻をくすぐる。
誕生日のデザートでお馴染み苺のショートケーキと比較すると、だいぶ質素に思えてしまう。
彼らは見たことのない料理を物珍しく見つめる。
だが1人、料理人であるサクラは美術館に飾ってある至高の作品を眺めるように見つめて、驚愕していた。
流石、現役料理人。
3人が知らなかったスイーツの名前を一目見て当てた。
さらにはグルメールにも引けをとらない解説をサクラは始めた。これには美食家も驚き、賞賛する。
グルメールは隠し持っていたチーズケーキを人数分取り出した。本当は全部1人で食べるものを初対面の方に渡すとは、思いもしなかった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。