第3話

Case.2「現実の姿」
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2024/05/02 11:00
 
 レイラー
………………
“それ”を目に入れた瞬間…僕は息ができなくなった。

“生まれたままの姿”で手術台に横たわっていた女性の傷は、想像以上に酷いものだった。
まず…説明した通り女性は赤ん坊が生まれた時のあの姿をしていた。せめて大事なところくらいは予め隠しておいて欲しかった。

あの、貴方達が大人でも、僕は思春期真っ只中の乙女ですよ?死体の惨状に目を覆いたくなる前に、そういう意味で目を逸らしたくなるんですけど?
 レイラー
…えっと……レイラーです。よろしくお願いします
……とりあえず、僕はその場に居た初老を迎えたであろう男性の医者とまだ若い女性の看護師に挨拶をした。
看護師
よろしくね、レイラーさん…
医者
宜しく、レイラーさん。君には、主に犯人探しをしてほしいとみぞれからは聞いたのだが…
みぞれ
はい、レイラーさんの責任者からそう伝言を預かっておりました
 レイラー
一応、アイツ…リーダーからは「“分析屋”を名乗れ」と言われました
なんでお店みたいな名前なのかは分からないが、とりあえずアイツの言う通りにしておけば基本大丈夫。実力だけは本物だし、一応信頼しているからね。
医者
では、早速…まず発見時の状態から話しましょう
医者は偉そうにそう話すと、看護師の方に目をやった。看護師はそれを受けとって、手元のカルテを読み始めた。
看護師
死因は「大量出血による失血死。」何者かに“細長い刃物”で攻撃された形跡があり、壁に身を預けるように死亡していたことから自殺ではなく他殺だと判断されました。
看護師
傷跡は頭や胸に計17箇所。相当な殺意を持った人物の犯行かと我々は推測しています
看護師
死亡推定時刻は今から2時間15分程前の午後8時40分頃。発見されたのが病室からすぐ近くのトイレの手洗い場で、午後9時10分は過ぎていた………との事です。
 レイラー
なるほど……
情報を整理しよう。


・死因は大量出血による失血死。

・死亡場所はトイレ。

・何者かに殺されている。

・使用された刃物は長細いもので、それによる傷は頭や胸に17箇所。

・相当な殺意があった犯行だと推測できる。

・死亡推定時刻は午後8時40分頃。

・発見されたのが、それから30分後の午後9時10分…
 レイラー
………えーっと、看護師さんとお医者さん。
 
 レイラー
“この情報に偽りは無いですね?”
まず、僕は2人の顔を睨むようにして見た。
看護師
え……?
医者
まさか、私たちを疑っているんですか?
 レイラー
………………ごめん。流石に無いよね。
暫くして、僕は2人から目を逸らす。

“2人が犯人ということは無い”みたいで安心した。それに僕は一度安堵のため息をついた。ここでこの2人のどちらか、あるいは両方が犯人とかだったら楽だったんだけど。そんなに都合良くは行かないか。
 レイラー
それじゃあ…“2人の分析も終わった”ことだし、まずは犯人像を突き止めていこう。
 

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