俺達は、最強だった。
何にも負けることはないと、信じていた。
そして、俺の隣りにいたお前は、正しさを知っていた。
だから俺達が、俺が、進む方向がわからなくなることはなかった。
俺達は一度、最強ではなくなった。
だがそれは、さらなる強さを手にする結果となった。
俺達はもう一度最強になったのだ。
最強は崩れることはないと。
隣にお前がいる限りはと。
思っていた。
お前の中の正しさが揺らいでいることなど、もう俺の隣にいないことなど、気づきもしなかった。
俺の隣からお前がいなくなった。
頼りにしていた正しさが消えたことで、俺は何を指針にして進めばいいかを見失った。
お前は帰ってきた。
俺の隣ではなく、敵対者として。
俺の前にいるお前は、もう最強ではなかった。
最強ではないお前と向き合って、俺は、何を感じたのだろうか。
ただ、決定的に俺とお前は違うことを知らしめられた気がした。
お前が何を思って決別したのか、それを後悔しているのか。
問いかけたいことはたくさんあった。
だけどお前が、納得したような顔をしていたから。
それを壊してしまうことはやめたかった。
隣りにいたときは、正面から見つめ合ったことなどなかった。
最初で最期の正対。
ずっと前からこんなふうに向き合えていたのなら、この結末は訪れなかったのだろうか。
最期のお前の笑顔には、どんな意味があるのだろう。
隣でも、前でも、後ろでも。
どこでもいいから近くにいて欲しかった。
―END―












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!