俺は正直。
コイツが嫌いだった。
兄貴とじいちゃんの言う事しか聞かねぇ。
口を開くのは飯とくしゃみとあくびの時だけ。
嫌だった。
この時は、
片割れのこいつの事を何も分かって
あげられていなかった
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兄貴が死んじまって、
しばらくすると
あなたは変わった。
あんなにも静かで無口だったあなたは
エマや俺、じいちゃんに頻繁に
口を開くようになった
正直、気味が悪かった。
こんなに変わり果てて、
『万次郎万次郎』と俺の名前を呼ぶ。
俺はあなたを避けるようになった。
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エマが、1日だけ外に遊びに行って
帰って来なかった日があったんだ。
その日
俺は____________
あなたは1人で今日みたいに外に出た
帰ってきたのは、
エマだけだった。
あなたは、
不良に絡まれていたエマを助けて
先にエマを帰らせたらしい。
『"お前は姉なんだろ?"』
『妹を守れねえのかよ』
ひたすら走った。
俺のせいだ。
俺があんな事言ったから………
ボロボロで、涙を流して。
ぐちゃぐちゃになった顔で。
何度も殴られたであろう重い体を持ち上げ、
自分よりも遥かに強いであろう不良達を睨む
あなたの背中には
兄貴と同じ"姉"の面影があった__________
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!