翌日
そらされた。
それから数日経っても総悟の浮かない顔は変わらないまま。
いや、
もっと元気の無い顔になっているかもしれない。
病院までは少し遠いし面倒臭いが、今は少し息抜きしたい気分だった、ちょうどいい。
もしかしたら土方さんはそれを感じ取ってくれてわざわざ私に行かせたのかもしれない。
揉め事は無事終わり、軽傷を負った被害者を病院内へと連れていった帰りだった。
ミツバさんの元に駆け寄り抱きついた。
この時、前に会った時よりも細くなっていたこと、
どうして総悟が浮かない顔をしていたのか悟ってしまったこと、
それを知らないフリをした。
ミツバさんの病室で髪を結ってもらいながら話をした。
私はてっきり土方さんのことが好きなのだと思っていたけど違ったんだな。
ドアに手をかけ、帰ろうとした時だった。
何も私は聞こえてない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。