「 藍透、話を聞いてますか ?」
聞き慣れた、冷静で怒りの滲む声で視界がはっきりする。
いつの間にか考え事をしていたらしい。
正座している私の前に、御立腹のお母様が綺麗な姿勢で座っている。
有り難く面倒で素敵な、お母様の説教は続く。
全てにおいて1番の座にいなければなりません。
___ ハイレベルな学園なんだから、かなり難しくないですか?
目上の人が話している時は、しっかり敬意を持って耳を傾けなさい。
___ 敬う気持ちなんて、持てそうにありません。
全員の手本となる人間になる為、日々努力しなさい。
___ 週に1度だけしか、まとまった休憩時間がないのにでしょうか。
…ほら、長時間正座していて足が痺れても、隠し通しなさい。
___ だって、話が長いから仕方がないでしょう。
紡がれる言葉に、微笑みながら、けれど反省しているような表情を向ける。
心の中で浮かぶ反論は、泡のように弾けるだけ。
我が家は雨吟神社で、代々巫女として継いでいる。
だけど、神子は少し違う。
神子はその文字通り、 " 神の子 " と言われている。
うちの神社の10代目だった巫女はある日、夢を視たそうで。
神社で祀っている神様が現れたらしい。
「 我が愛し子よ、よくお聞きなさい 」
「 そなたらは我ら神々の子孫である 」
「 そして10代目、20代目、30代目…と、10代ごとにその恩恵を持った神子が生まれる 」
「 神子それぞれの特徴を持った夢を毎晩視るだろう 」
「 そなたは夢で我ら神々と干渉できる 」
…そしてその通り、代々その年の跡継ぎの神子は夢を視た。
ある者は未来を、ある者は過去を、ある者は人の心を。
欠かさず毎晩視たそうだ。
そして、40代目である、私。
神子は10~19歳の間に " 夢 " を視るようになるらしい。
現在時刻の年齢は17歳で、タイムリミットが近付いてきている。
けれど…私は…
そう、私は未だ、夢を視ることが出来ていない。
とんだ出来損ないである。
___ 私は、本当に、神子なのかな…?













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。