思い出したのは雨音のことだった。
ルナが動物病院で会った時から気になっている様子だったし1度家にお邪魔した時も相性はさほど悪くなく、何なら仲良さそうに見えた。
俺が率直に感想を述べれば、キムテスは状況を整理するように声を出す。
黒い大きな門の前で立ち止まる。
流石に二日連続で来るのはダメだっただろうかとかでも緊急事態だしとか、余計な思考だけがぐるぐると回った。
「にゃあー」
猫の鳴き声がしてふと視線を下げれば、大きな黒猫。
見間違うはずがない。
視線が俺に1度向き、俺の事は先日の相手だと識別したのかキムテスのほうにすっと歩いた。
じーっと翡翠色の瞳がキムテスを捉え、差し出された手に近づく。
そんな言葉を聞いていたのかいないのか、しばらくキムテスに撫でられ目を細めた後俺の方を見た。
まるで今日はルナが居ないのか聞くように。
口を開こうとしたその時だった。
おじいさんが姿を見せ、雨音は俺たちの足元から離れおじいさんを守るようにぴたっと横に着く。
どう話を持っていくべきか悩んでいる間に、おじいさんは何か察したようだった。
長年生きていると培われる勘とかだろうか。
昨日と同じように雨音に先導され縁側へと向かう。
心地よい日差しが頬を照らした。
事情を話す間、雨音はじっとこちらを見つめていた。
昨日の日向で丸まっている姿から想像出来ないほど。
その時もまだ知らなかった。
雨音とルナの繋がりを。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。