〜あなた目線〜
「撮影のために一緒に住むの、ほんとに
無理しなくていいから」
その言葉は、あなたの動きを止めた。
じぶんに執着してくるウヨンのことを、最初は
気にしていた。
けれど最近は、
わたしなりにちょうどいい距離で
仲良くなれたと思っていた。
そして、お互いに思いも確認していたはずだ。
なので、ウヨンのその言葉は、
気遣いと言うより、
あえて距離をとる言葉に、あなたには聞こえた。
「べつに、無理してはないですけど」
意図せず冷たい声になってしまう。
「もう寝ませんか、探すのは明日の昼までが
期限でしたよね」
「初日で疲れてるでしょうし」
背を向けて、自室に戻ろうとすると、
「まって、」
「ごめん、今のはそういうことじゃなくて、、」
「ただ、俺が、」
「俺が、負担になってるかと思って」
弱々しい声。
わたしなんかに、なんでそんなに
気を遣ってくれるのか。
「あの、」
「たしかに、ウヨンさんのこと、最初は怖かったですけど」
「…今は、そこまでじゃないですから、、」
思わず言ってしまった。
恥ずかしい。というか、あの夜は何だったんだ。
覚えているのは私だけなのだろうか。
ウヨンが自分を好きなのだと思っていたのが
勘違いだったのなら
今すぐ消えたくなる。
「…え」
「やば」
「そんな事言われたら、俺もう」
「とまれなくなるんだけど」
急に抱きしめられた。
目の前がウヨンで埋め尽くされ、
あなたは混乱した。
「ちょっと、他のスタッフさんもまだ
向こうにいるんですよ!!!」
「ならなおさら静かにして」
「いまは、もうすこしだけこのままで」
「…もう、」
「あと、ちょっとだけですよ」
その夜は、余韻のせいであまり寝れなかった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。