第55話

♪ 55
496
2026/01/11 09:00 更新
冬弥
冬弥
『例の曲、Bメロのコード展開を少し変えてみた
前より流れが自然になったと思うんだが、どう思う?』
私はすぐに再生ボタンを押して耳を傾けた
その音にほんの少し身を委ねるようにして、気付けば頬が緩んでいた
あなた
『確かに自然になってる
前のよりこっちの方がサビに入りやすいかも
あとドラム、ちょっとだけ抑えてるのが良かった』
メッセージを送ってから数分も経たないうちに、ぽん、とまた返信が届く
冬弥
冬弥
『良かった、そう思ってもらえて安心した
ではこの方向で詰めていこうと思う
あなたの下の名前もまた何かあれば遠慮なく言ってくれ』
そのやり取りの余韻にふわりと笑みが浮かんだ後、私ははスマホを見つめたままもうひとつの報告を打ち込んだ
あなた
『あ、そうだ。今日先生に言われて…
来週から毎週金曜、放課後補習に行くことになった』
少し迷ったあと、さらにもう一言付け加える
あなた
『だからまた学校で会うかも』


ほんの短い文章
でも自分から『また会うかも』と言えたその一歩が、
私にはちょっとした前進だ

スマホの画面を見つめながら、心の奥がほんのりと温かくなるのを感じていた


冬弥
冬弥
『毎週金曜か、わかった
確かにまた会えるかもしれないな』
冬弥
冬弥
『毎週金曜が少し…楽しみだ』
その一文を見て、思わず指先が止まる
『楽しみだ』の文字がじんわり胸の奥に染み込んでくる

ほんの短いメッセージなのに、なんでこんなに鼓動が速くなるんだろう
あなた
……ふふ
つい笑みがこぼれたその時だった
瑞希
瑞希
ん~?あなたの下の名前、なんか顔緩んでない?
スマホ、見てたの?
先程までMVの構成を練っていた瑞希が再びひょいと覗き込んでくる
あなた
……っ!? な、なに……瑞希
瑞希
瑞希
… へぇ~、冬弥くんに報告してるんだ?
また会えるかもって送ったんだ?
へぇ~~~?
あなた
…っひ、人のスマホ、見ないでよ……っ!
頬を膨らませる私を、瑞希は楽しそうに見つめてる
そこに、少し離れていた絵名がバチッと反応した
絵名
絵名
ちょっと瑞希!あなたの下の名前は繊細なんだから、あんまりからかわないでよね!
瑞希
瑞希
え~、ちょっとからかっただけじゃん?
ま、確かにえななんと違ってあなたの下の名前は慎重で穏やかだもんね
絵名
絵名
私が乱暴だって言いたいわけ!?
瑞希
瑞希
いやいやそういうわけじゃないけどさ~


頬がじんわり熱いまま私はスマホの画面をそっと伏せた
胸の奥にほんのり灯った光が、今も静かに瞬いていた


──また、会えるかもしれない
──“冬弥くん”と、同じ教室で

それが今の自分には少しだけ、楽しみだった




新作です❕騎士パロ夢です
到底恋愛とは呼べないような🥞☕️にひたすら歪な愛を注がれる話です
夢主が散々可哀想な目にあっているのでそれに耐えられる方は是非👆🏻

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