まぶしい光がカーテンの隙間から差し込み、瞼をそっと叩いた。
目を開けると、隣には眠る照さんの横顔。
大きな体を少し窮屈そうに折り曲げ、僕の肩に腕を回して眠っている。
――昨夜のことが鮮明に蘇る。
ソファで互いに体を寄せ合い、耳を甘噛みし、囁き合い、ただそれだけで全身が熱を持った夜。
行為はなくても、気持ちは十分に溶け合っていた。
小さな声で呼ぶと、彼の眉がわずかに動いた。
掠れた声が僕の名を呼ぶ。
まだ半分夢の中にいるような顔で、腕の力を強め、僕を抱き寄せた。
そう言いながらも、心地よくて抗えない。
大きな胸板に頬を押し当てると、鼓動がはっきりと伝わってきた。
昨夜、耳元で何度も聞いた荒い息づかいを思い出し、胸が熱くなる。
――こんなに近くにいるのに、まだ物足りない。
彼がそう囁き、僕の髪に唇を落とした。
甘やかな声に、僕は抵抗をやめ、目を閉じる。
時間が止まればいい――そう思うほどに幸せだった。
朝食を並べる頃には、外の光は完全に目を覚まし、街の音が聞こえてきていた。
僕が用意した簡単なトーストとスクランブルエッグ。
食卓で並んで座るだけなのに、昨夜の余韻が残っていて視線を合わせづらい。
照さんがフォークを置き、真剣な顔を向ける。
唐突な問いに息を呑む。
即答だった。
そう告げると、彼は安心したように微笑んだ。
大きな手がまた僕の頭を撫でる。
その仕草に、胸の奥がじんと熱くなる。
午後からは大学へ。
普段通り講義を受け、友人と笑い合う。
けれど心の奥は、ずっと昨夜の照さんに囚われていた。
ノートに視線を落としても、耳元に触れる彼の唇の感触が蘇る。
友人に声をかけられて慌てて返事をする。
――危ない。日常の顔を保たなきゃ。
けれど、ふとスマホを見ると、照さんからのメッセージが届いていた。
『今夜も会いたい』
それだけの短い言葉に、心臓が跳ね上がる。
――もう後戻りはできない。
僕は静かにスマホを握りしめ、小さく息を吐いた。
そして短く返した。
『はい』
夜、再び照さんの部屋に戻る。
昨日と同じソファに並んで座ると、何も言わなくても互いの体が引き寄せられた。
唇が重なり、息が混ざり合う。
耳元に彼の吐息が触れるたび、昨夜の感覚が蘇り、体が熱を帯びていく。
囁く声が甘く胸に落ちる。
彼の言葉に、全身が震えた。
でも逃げる気持ちはなかった。
震える声でそう答えた瞬間、彼の瞳が一層強く輝いた。
――僕はもう、この人に全てを委ねる。
そう心で呟きながら、また彼の腕の中に沈んでいった。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。