第29話

✨×😎 負けヒロイン
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2025/09/05 07:04 更新
匠海said



12月、街はクリスマスのイルミネーションや年末の賑わいで浮かれていた。

そんな夜、俺は京介に告白した。




匠海「京介…俺、京介のことが好きです」




京介は少し視線を逸らし、沈黙が続く。


考え込むその姿に、胸が締め付けられるようだった。





京介「ごめん、匠海。好きな人がいるんだ」


言葉は短く、でも胸には重くのしかかった。 京介らしいが。


本気だった マジで好きだった 俺が幸せにしたかった 精一杯笑顔を作りながら答える。





匠海「そ、そうか…」


京介「これからも友達として、仲良くして欲しい」


小さくうなずく。



匠海「…もちろん」


と精一杯笑顔を作る。




心の奥にはぽっかり穴が空き、目の前の空気が少し冷たく感じた。






改めてこの気持ちは一方通行だったのだと思い知らされる。
































ー数日後ー







迅「うわぁ〜!めっちゃ綺麗やん!匠海、写真撮ろ!」





カメラの前でもプライベートでも元気いっぱいのマンネ。

そんな迅と2人っきりの外ロケ。迅とペアで仕事なんて滅多にない。




変な感じだ。


某有名遊園地の毎年恒例のイルミネーション。


広い園内がライトアップされる夜はとても幻想的だ。






匠海「ほんまに園内丸ごとイルミネーションなんやな!」


迅「平日なのに人がいっぱい!カップルも沢山いますね!笑笑」




カップルがーとか言うから。

胸の奥がズキっと痛む感覚が蘇る。




数日前に京介に想いを伝えたのもイルミネーションのなかだったな。






匠海「ほんまやな…」



園内を歩くたび、笑い声と光に包まれる。



俺も誰かと幸せオーラ満載!って感じでデートしてみたい。




京介とここに来れたらな、なんて叶いもしない妄想をしてしまう。

いくら仕事とはいえ、迅に失礼すぎる。

少し反省。




隣で、ずっと笑ってる迅。


誰からも愛される彼にこの痛みがわかるのだろうか。




失恋とかしたことなさそーと勝手に妬く。
















とはいえこれは仕事。



匠海「俺マジで無理やねんけど!!!」


迅「大丈夫やって!俺がおるから!笑笑」





園内でも有名な絶叫マシンを前にしてビビり散らかす俺に大爆笑の迅。


イルミネーションで飾られた園内を一望できるジェットコースター…。


匠海「まじでリポートする余裕ない」



昔は絶叫系なんか余裕!な人間だったが今は全くそんなことない。






迅「大丈夫大丈夫俺がちゃーんとリポートするから🎶」

終わったあと、俺の必死顔を笑う迅。

どうやら乗車中の客の写真を撮るスポットがあったらしい。



必死すぎて気づかなかったが。






匠海「なんでお前こんなキメ顔なん?笑笑」


迅「ビジュアル担当なので?笑笑」




そんなこんなでロケは無事終了。













迅「ねーねー観覧車乗ってから帰ろうよ!」



匠海「観覧車?!」







匠海「…カップルばっかり並んでるで?」



迅「別にいいじゃん〜匠海どうせジェットコースターのときまともに景色見れてないでしょ!もったいない!」



匠海「おい!笑笑」



迅「俺もゆったりしたアトラクション乗りたい〜付き合ってよ〜」






屈託なく笑う迅に、思わず吹き出してしまった。


ほんま、羨ましいくらい強いな。





匠海「ロケ頑張ったもんな!楽しむか!」


迅「おっしゃー!インスタ用の写真も撮ろう!」


匠海「MINIに見せたいもんな!笑笑」





観覧車の前に並ぶと、ジェットコースターの喧騒とは違って妙に落ち着いた空気があった。




笑い声やイルミネーションの光は変わらないのに、少しだけ胸の奥がざわつく。






(…カップルばっかりやん。なんか変な感じする。)



相手は迅。お互いただの友達。なんともない。







順番が来て、俺と迅はゴンドラに乗り込んだ。

扉が閉まる音がやけに大きく響いて、世界から切り離されたみたいだった。



これぞ観覧車マジック。






迅「わぁ〜!めっちゃ綺麗!見てみ匠海!」


匠海「おぉ…すごいな」




ガラスの外に広がる光の海。


目の前の景色より、隣で子供みたいに目を輝かせてる迅に目を奪われそうになる。

当たり前のことだが本当に綺麗な顔立ちなのだ。




迅「…匠海最近なんかあった?元気なさげだけど。」


まさかの唐突な質問にズッコケてしまう。



匠海「なんで?」


迅「匠海わかりやすい」



匠海「ははは…ごめん笑笑」







匠海「実はな、この前…京介に告白したんやけど、振られてもうて」



迅「…京ちゃんに?」


匠海「うん。『好きな人がおる』って。俺の気持ちは一方通行やった」




少し笑ってみせたけど、胸の奥がまだちくりと痛んだ。



すると、隣で黙って聞いていた迅がぽつりと口を開く。


迅「…俺も、三年付き合ってた人と別れた」

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