あわただしく帰ることになってしまった
そのころ
そういわれて渡された鍵は重く冷たかった。
歴史が詰まったそんな匂いがした。
ガチャンと鍵がはまりゆっくりと回す。
十、いや百はあるだろうかそれほどの木箱が並べられている。
そして、俺は見つけてしまった。
自分と同じ名前が書かれた木箱を。
何故
でも、知っている。
何故か
ここに入っているものを自分は知っている。
きれいに磨かれてしまわれたその刀の鍔を見た瞬間に
いくつもの記憶が流れてきた
赤色の刀からくり出される炎、白に炎のような羽織
自分の血の匂いと、あの夜の燃えるような熱さ。
自然と落ちる涙を止めることはできなかった。
そして、そっと倉庫の扉を閉めた。
父上は知っていたので。
記憶が戻る条件を。
俺がふがいないばかりに、志半ばで逝ってしまったことを
思い出させたくはなかったのだ。
色々なことが頭を巡る。
おそらく、すべてを思い出したわけではない。
そうなると、不死川や伊黒や甘露寺なども記憶がない。
どうしたものか、、、












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!