仕事から帰ると、晴人さんはいなかった。
めちゃくちゃお腹すいた…
今日何作ろうかな…
ふと、食卓のテーブルを見ると
何やら置き手紙らしき紙が置いてあった。
なんだろ…
見ると、そこには
晴人さんの連絡先が書かれていた。
連絡先が書いてあるその下に
「おかえり
お疲れ様。カレー作ったからよかったら食べてね」
わたしはキッチンに行って
お鍋の蓋を開けると
具材が沢山入った
おいしそうなカレーがあった。
わたしはカレーを温めて
炊き立てご飯をよそって熱々のカレーをかけた。
わたしは手を合わせて
カレーを口に運んだ。
…なにこれ…
隠し味が入ってるのか
まろやかな味わいになっていて
食欲をそそられる。
…こんな風に誰かの手作り料理を食べるなんて…
ほんとになん年ぶりだろう…
元カレは、家事とか料理とか
一切何もしてくれなかったし
まだ学生とは言えども…
…て、わたしなんでまだ元カレの事考えてんだろ。
ダメだ、ダメだ
せっかく美味しいカレーが目の前にあるのに
気持ちが下がってしまう。
ガチャ
あ、晴人さんが帰ってきた!
わたしは両頬を軽く叩いて
椅子から立ち上がった。
晴人さんがリビングのドアを開けて入ってきた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。