第49話

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2022/01/25 16:00
お姉さん)「好きな人おるって言うたやん? その人のことやねんけどな」

お姉さん)「手っ取り早く言うけど、もう死んどんねん、そいつ」

お姉さん)「なんつーか病んどったからなあ。死んでもた」

お姉さん)「ここで一緒に暮らしとった。BARはそいつと一緒に初めてんよ」

お姉さん)「親友やったし、同時に恋人やった」

お姉さん)「たったそんだけのありきたりな話や」

僕)「なんで死んじゃったんですか?」

お姉さん)「さあな。遺言はあったけど、ほんまかどうかわからんし」

お姉さん)「まあ、そいつが言うには、恐かったんやて」

お姉さん)「うちを幸せにできる気がせんって」

お姉さん)「想像つくんかどうか知らんけど、うちもそいつもろくな家庭で育ってないねんよ」

お姉さん)「うちは親から虐待受け取ったし、そいつは親に捨てられてたし」

お姉さん)「十六ん時に会って、似たもの同士やからか気が合って」

お姉さん)「二人で金貯めて家借りて、店も出した」

お姉さん)「けっこう上手く行っとってん」

お姉さん)「あいつはなにが恐かったんやろなあ……幸せにしてくれんでも、一緒におってくれるだけでよかったんに」

お姉さん)「あいつの保険金でこの家は買い取った。なんか、あいつが帰ってきたらって考えるとな」

お姉さん)「ありえへんのやけど」

僕)「……まだ好きなんですか?」

お姉さん)「どやろな。うち残して勝手に死んだアホやから、まだ好きか言われたらそうでもないかもしれん」

お姉さん)「やけど忘れられへんねん。あいつのこと」


それは十五歳の俺には身に余る
とても重たい過去だった

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