今まで聞いたことの無い爆発音に一同は振り返った。
そこには薄ピンクの大きな煙が空まで届くように、いや夏の入道雲となって空を埋め尽くさんとばかりに広がっている。
もくもくと膨れ上がる噴煙から薄ピンク色の尾を引きながら何かが突出していた。
『ヒュォォオオ!』
(何か風を切る音………上っ?!)
バッと勢い良く頭上から鳴る音の正体に顔を上げた私の目には、
鉄板と共に空を横切るデクくんの姿が映った。
どうやら埋められた地雷を掘り起こし、集めて、巨大爆発を起こしたらしい。
「ぁっ、」なんて思わず漏れた声、自然と上がった口角の端。
そして後を追って笑い声が緩んだ口元から零れた。
私の瞳は光を呑み込んでかの様に輝いていたのだと思う。
『ワァァァアアアアッ!!!』
観客が盛り上がる様子が声に乗せられ、私の耳を刺激する。
突如、1位争いをしていた2人を抜かして、先頭へと躍り出たデクくんに観客の興奮は止まらないようだ。
(やっぱり、デクくんは…)
『クスッ…』
・
・
・
それからは怒涛の展開だった。
1度は首位で降下したデクくんだったが、
地面に着くと同時に轟くんと勝己に抜かされると悟った彼は瞬時に一か八かで持っていた鉄板を地面に叩きつけた。
『ドンッッ!!』
先程と比べて威力的には弱いとは言えど、
デクくん1人を第3関門のゴールまで吹っ飛ばすには充分の爆発威力だった。
その後の着地も足取りも、何もかもがギリギリで必死に走り続け、
いよいよ最後のトンネルへと差し掛かる。
『バタバタバタッ』
足音が3人分しかしない事に気づいた轟くんは即座に後ろを振り返った。
薄暗いトンネルの中、私は宙返りをしながらその様子を見下ろしていた。
『タンッ!』
トンネルの壁を蹴るなり、轟くんの真横に足を下ろした私はそのまま彼の横を通り過ぎていく。
轟くんのほんの少し霜の降りた右腕が私へと向けられる。
私はその腕を交わして前へと進み出た。
『ワァァアアアアアアッ!!!』
トンネルの先にある光に近づくに連れて、観客の歓声で耳が痛くなる。
それはゴール直前を示していて…
誰が1位になるか分からない接戦。
トンネルを抜けた先で勝負が決まる。
1位通過した者の名前をプレゼントマイクが口にした瞬間、
『ワァァァァアッアアアアアアッ!!!!!』
歓声はより一層大きく、ドームの吹き抜け天井の空高くに吸い込まれる様に響いた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!