星月 side
今思えば、一目惚れなのかもしれない。
何となくそう思った。
桜の花が散り始め日差しが暖かくなってきたその日、
わてはいつも通り図書室で読書をしていた。
休んだ司書の方の代わりをするため、
受付に腰を下ろして。
この学校の図書室の本数は数万本で、
いつも利用者が多いが
その日は珍しくガラガラだった。
たまにはこんなのもいいな、なんて思っていると
少し上から柔らかくて聞き心地の良い声がした。
本から目線を上げて声のした方を見て、
わては固まった。
不安そうにこちらを見る目。
その目はじっとわてを見つめ、
こちらの様子を伺っているようだ。
かわいい、なんて思って固まっていたら、
痺れを切らしたのかもう一度声をかけてきた。
今度はさっきより少し声量が小さかった。
スキャナーを手に取る。
生徒名の書いてある本をパラパラと捲る。
1年Aのページに来て琴乃葉という名前を探していると、
案外早く見つけれた。
ピッとバーコードを読み込む。
そう言って花が咲くような笑顔をわてに向ける。
それと同時にドキッ、と心臓の音が大きく鳴った気がした。
▽
思い出に浸りながら本を読んでいると、
入口から聞きなれた声がした。
本を閉じて腰をあげ、
みこちゃんの元へ向かう。
キョロキョロと頭を振っている姿にまた胸を撃たれながらも、
声を掛ける。
みこちゃんも図書委員になってほぼ毎日会えるようになった。
好きな子と毎日会えるのはなんて素晴らしいことなんだろう。
心が癒される。
頭を撫でると目を細めて嬉しがる姿を
目に焼き付けた。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。