今部屋に入ってきたであろう中也の言葉に私は窓から目線を動かした。
執務机と向き合い仕事をする手を休めない私に中也はため息をついた。
その言葉と共に入れ替わりで芥川君が入ってくる。
ガチャンと言う音と共に重い扉が閉まる音がした。
書類から顔を上げずにそういうと芥川君は一瞬言葉を詰まらせた。
強い命令口調で言えば今度こそ芥川君は静かになった。
その声に私は思わず書類から目線を上げた。
扉を開ける音が聞き取れなかったのは流石の身のこなしと言ったところか、何て場違いなことを考えると姐さんはため息をついた。
相棒と部下に心配されるのでは起きたあなたに笑われるぞ。
そう言いながら私の方をじっ、とみる姐さんは私がこの書類の手を止めてこの部屋から出ない限り居座り続けるだろう。
隣で私のことを見ている芥川君も、姐さんの圧には逆らえないだろう。というかもともと彼も私のことを休ませたいと思っているのだ、逆らう理由がない。
諦めて私は書類から手を放し立ち上がった。
それでいいのじゃ、と言う姐さんの隣をすり抜け、私は重い足を進めながらあなたさんが居る部屋へと向かった。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!