頭痛と共にやって来た新年度2日目の朝。
クラスに広がる笑い声と、何があったのか問う声たち。
俺だったらこんな風に呟いても独り言で終わってしまうのに、皆がこうして反応するのは何の違いなんだろうな。
同じだけの年を重ねて生きてきているはずなのに、俺らの違いってなんなんだろう。
テヒョンさんは多分、「陽」という
言葉を優に超えるくらいに明るい。
中学生の頃からある、あの耳障りな忌々しい類分けには当てはめられないくらいに特殊な人。
せっかく席が前後になったというのに、あの挨拶以来何も話していないことに焦りとか出遅れた感を感じる。
テヒョンさんと親しくなることが、「他人に認められる基準」とか思っちゃってる自分に嫌気がさすし、そういう雰囲気自体よく分からない。
誰が決めたって言うんだよ、そんなこと。
テヒョンさんの前の席とか左右の席の人は、もうテヒョンさんとかなり打ち解けてるというのに。
どうして…みんなどうやって話しかけてるのさ。
「テヒョンさんも付き合う人選んでんのかな」なんて考えてまたため息が出た。
そもそも友達ってどう作るの。
これは対テヒョンさんに限らずだけど。
周りの席の人たちに話しかける彼に、「本当突拍子もないなぁ」 なんて思って声を出して笑ってしまった。
あー、振り向いてくれないかな。
彼からは後ろにいる俺の顔なんか見えていないし、この声だってきっと届いていないだろうに。
こんなことで少しでも反応できた気になってしまう自分が実に惨めだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。