第13話

はじめまして 後編
927
2024/04/12 15:38 更新
チャンビン
チャンビン
…あの家は、表向きは歴史ある名家として数多くの政治家を生み出して来た家系だが、裏では表では言えないことを行う国主導の暗部組織の育成、能力の実験開発を行う悪どい家だ

ここにいる全員が知っているだろうがな、とチャンビンは自嘲気味に笑う
チャンビン
チャンビン
俺は5歳になる頃に親に売られて連れてこられた暗部の人間だった
"親に売られて"

その言葉に全員がハッと息を飲む

チャンビン
チャンビン
まあ元々親との関係なんて対していいもんじゃなかったし親を恨んでるとかそんなことは特にないんだが
チャンビン
チャンビン
リクスも5歳頃か?暗部に連れてこられた。
"誘拐"されてな
フィリックス
フィリックス
ゆう、かい…?
チャンビン
チャンビン
リクスは連れてこられた時から稀に見る天才児ってやつで5歳なはずなのに既に能力を発現していたんだ
チャンビン
チャンビン
だがそれが上の目に止まっちまった
思い出したくもないのだろう、チャンビンの眉間に深く皺が寄せられる
チャンビン
チャンビン
幼い頃から有力と認められた奴は暗部の核を担うため、能力の発現と共に洗脳が始まる
バンチャン
バンチャン
洗脳…!?
ガタリと思わず立ち上がったバンチャンを、スンミンが宥める
フィリックス
フィリックス
う"ぅ…っ、
チャンビン
チャンビン
親の存在や、兄弟、それまで愛されてきた記憶を、全部消されるんだよ
フィリックス
フィリックス
う"ぁぁあ…ッッ
ハンジソン
ハンジソン
ッッリクス!!
"洗脳された"という事実に脳が激しく抵抗しているのだろう、フィリックスが頭を押えて蹲る。
ヒョンジン
ヒョンジン
ヨンボガッ…大丈夫…?
あっちで休む?
フィリックス
フィリックス
…僕にも関係あるんだ、ちゃんと聞くよ…ッ
心配そうに顔を覗き込むヒョンジンに、フィリックスはヘラりと笑ってみせる
チャンビン
チャンビン
…ヨンボガの話はまた今度にしようか。
スンミン
スンミン
…君はあまり動揺してなかったようだけど、知ってたの?
スンミンが淡々とした表情でハンに問いかけると、ハンは小さく頷く
ハンジソン
ハンジソン
…仮にも、本家の人間だから
スンミン
スンミン
本家、ねぇ…
じゃあ君も同類なんじゃないの…と言外に訴えるその瞳から、ハンは耐えきれなくなって視線を逸らす

チャンビン
チャンビン
本妻の息子ではないとはいえ、直系の血を引いてるジソンにも護衛はつけられた。
その時、自分で言うのもなんだが結構優秀だった俺と、優秀で見目も良かったリクスだった。
チャンビン
チャンビン
天国かと思ったよ。
この仕事は毎日のようなきつい訓練はないし上官に折檻されることは無い。
チャンビン
チャンビン
高々10歳そこらのガキの話し相手と身の回りの世話さえすればよかったんだから。
ハッと自嘲気味に笑うチャンビン
チャンビン
チャンビン
でもそれからが地獄だった
チャンビン
チャンビン
毎日のように繰り返される実験の道具として駆り出される主人の悲鳴、日を追う事に消えてく主人の笑顔…
フィリックス
フィリックス
あの家は地獄そのものだ…。
まだハニも小さかったのに、あんな非道なことして…ッ
仮にも家族なのに、、あそこにハニの家族はいなかったよ…
悲しそうに、泣き出しそうになりながらフィリックスがハンの体を抱きしめる。
ハンジソン
ハンジソン
もう、慣れたでしょ?
チャンビン
チャンビン
慣れたくなんか、なかったよ
チャンビン
チャンビン
先に音を上げたのはヨンボガ、フィリックスだった。
こいつはハニのことを本当に主人として、本当の兄弟のように慕ってたからな。
チャンビン
チャンビン
もちろん俺も限界だった
バンチャン
バンチャン
…それで、裏で革命軍として動いていた僕たちを見つけて、コンタクトを取ってみた、と。
こくりとチャンビンが頷く
スンミン
スンミン
僕が、僕たちが数年間、ヒョンのことを探してたことは、知ってたの?
チャンビン
チャンビン
もちろん知ってたよ。
でも、こいつらを守るためにはそばにいないといけなかったから、少しでも怪しまれることはしたくなかったんだ
ごめんな、スンミナ。

そう言ってチャンビンがスンミンの頭を撫でると、スンミンはふるふると首を横に振る

スンミン
スンミン
僕だって、イエナとそういう状況になったらそうしてた。
ハンジソン
ハンジソン
…皆さんが、僕たちを助けてくれたってのは分かりました。
チャンビニヒョンが色々手を回してくれてたってのも
ありがとうございます。

とハンが頭を下げるとフィリックスもそれに倣って頭を下げる
ハンジソン
ハンジソン
でも、それでこのまま僕たちを保護してくれている理由が分からない。
あんた達にメリット、ないじゃん
ハンの強い、それでいて怯えた光を宿す瞳を受け、バンチャンがにっこりと微笑む
バンチャン
バンチャン
さっきも言った通り、僕はフィリックスと実の兄弟だ。
まあ本人は覚えてないらしいけど…ㅎ
僕は家族が何よりも大切だしリクスの洗脳も何とかときたいと思ってる。
スンミン
スンミン
僕も元々の目的は幼なじみであるチャンビニヒョンを見つけたい一心だった。
そしたらチャンビニヒョンが君たちと離れたくないって言うんだからそれはwin-winの関係でやってこうかなって
バンチャン
バンチャン
もちろん、これからは君のことも知っていって僕たちのファミリーになってくれればいいなって思ってるよ
バチンとウインクを送られたハンは未だにバンチャンに対して威嚇を辞めないフィリックスの後ろに隠れる
チャンビン
チャンビン
ほら、目的も、こいつらの自己紹介も済んだんだ。
お前らも挨拶くらいしろよ。
チャンビンの言葉にまだ自分たちが名前すらちゃんと明かしていないことを思い出し、ハンとフィリックスはピシリと姿勢を正す。
フィリックス
フィリックス
イ・フィリックス・ヨンボクです。
組織ではイ・ヨンボクって呼ばれてたけど、フィリックスって名前だけ覚えてて…
ハニとビニヒョンにだけ、そう呼んでもらってました。
そう言いながらフィリックスは困惑したようにチラリとバンチャンに視線を向ける
ヒョンジン
ヒョンジン
だからチャニヒョンにリクスって呼ばれて困惑してたんだ…。
チャンビン
チャンビン
ほら、ハナも。
ハンジソン
ハンジソン
…ハンジソン、です。
自分の名前を言うなりフィリックスに引っ付いてしまったハンの肩を、リノがちょんちょんとつつく。
リノ
リノ
ハナ、って呼んでいい?
ハンジソン
ハンジソン
…はい。
ヒョンジン
ヒョンジン
え!いいな!じゃあ僕もハナとかジソンアとか呼ぶね!
ヨンボガはヨンボガ〜♪♪

楽しそうにフィリックスに抱きつくヒョンジンの陽気さにハンは呆気に取られる。
チャンビン
チャンビン
まあもう同じ飯の釜を食った仲間なんだ!
これから仲良くしていくように!
スンミン
スンミン
何仕切ってんの
チャンビン
チャンビン
なっ!いいだろ!こんにゃろう!!
スンミン
スンミン
うわぁ
グリグリとスンミンの頭を掻き回すチャンビンにみんながどっと笑いを起こしその場は解散となった

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