第25話

第23章「残された人」
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2021/04/15 16:21 更新
数分歩いた後に着いたのは村の端のとある家。ここは俺の村の元村長だった、俺の母方の祖父の家。祖父と祖母が亡くなったあと、ここに住んでいるのは、


英田灯理(あいだとうり)
こんばんは。夜分遅くにすみません。一晩泊めていただけませんか?
???
はいはい、どなた?…って。
英田灯理(あいだとうり)
久しぶり、清美きよみおばさん。



俺の母さんの妹の清美おばさんだ。


清美(きよみ)おばさん
灯理ちゃんじゃないの!あなた、生きてたのね!まぁ、大きくなって。男前になったわね。
英田灯理(あいだとうり)
清美おばさんこそ、変わらないな。いつ見ても母さんにそっくりだ。



母さんと清美おばさんは双子だ。顔だけじゃなく仕草も声も全てが似ている。


清美(きよみ)おばさん
当たり前よ、姉さんと私は双子だもの。ね、灯理ちゃん、泊まっていくでしょ?
英田灯理(あいだとうり)
ああ。話したいこともたくさんあるしな。



ここへは小さい頃から何度も来ている。清美おばさんは俺の年の離れた姉のような存在だ。これを言ったら母さんが「私も清美も同じ歳なのよ!」って怒るから言ったことはないのだけれど。俺が生まれる前に祖母が亡くなり、その後を追うようにして俺が生まれてからすぐ、祖父も亡くなった。光が生まれた頃に清美おばさんは結婚したが、すぐ旦那さんを亡くしている。


清美(きよみ)おばさん
ここも食料不足が酷くてねぇ。それに去年はあまり野菜がとれなかったから、なおさらなのよ。粗末なご飯しか用意出来ないけど、我慢してちょうだいね?



見慣れた居間のちゃぶ台にご飯が並べられる。


英田灯理(あいだとうり)
食べれるだけありがたいよ。



麦と味噌汁とほんの少しの漬物。たったそれだけだが、そのそれだけも食べれない人はこの世にたくさんいる。


ご飯を食べ始めてすぐ、俺は話を切り出した。


英田灯理(あいだとうり)
清美おばさん、母さんたちのお墓、作ってくれてありがとう。



あの小さな墓。一家で誰一人あの場に帰ってこない中で、それを作ってくれたのは清美おばさんだと俺は考えた。墓の前に置いてあったすみれの花は清美おばさんの一番好きな花だ。末っ子のすみれという名前もそこから来ている。


清美(きよみ)おばさん
私が残された唯一の親戚だもの。それくらいするわ。…。灯理ちゃん、大変だったわね。本当…、灯理ちゃんが生きてて…、よかった…。
英田灯理(あいだとうり)
…。



俺は何も言うことが出来なかった。今ではかなり回数は減ったが、それでもたまに考えてしまうことがある。
“俺は、本当に生きていて良かったのか?”
と。母さんを、目の前にいたのに救うことが出来なかった。父さんの最期すら見ていない。弟妹たちを鬼の近くに来させてしまった。だから死んだ。家族が死んだ。俺は家族の命と引き換えに今も生きているのではないか、とそう思ってしまうのだ。


英田灯理(あいだとうり)
清美おばさんはあの日のこと、どれくらい知ってる?
清美(きよみ)おばさん
何も知らないわ。私はただ、遺骨がどう数えても6人分しかないっていうのを聞いて、誰かが生きているのを願ってただけよ。


俺はあの日の出来事を最初から全て語った。それから今、俺が何をしているのかも。その話はとても長いもので、全て語り終えた時には夜もだいぶ更けてしまっていたが、清美おばさんは最後まで真剣に聞いてくれた。


清美(きよみ)おばさん
灯理ちゃんの服を見た時にそうじゃないかって思ったわ。だってその服は鬼狩り様の服だもの。
英田灯理(あいだとうり)
鬼殺隊のこと、知ってるのか?
清美(きよみ)おばさん
知ってる…っていうか、出会ったことがあるだけよ。春彦はるひこさんが亡くなったときにね。



春彦さんというのは清美おばさんの旦那さんの名前だ。


清美(きよみ)おばさん
ずっと姉さん以外には話してなかったんだけど、灯理ちゃんにも話してあげるわ。



それは二人の新婚旅行ときの話だった。結婚してから数ヶ月後、二人は京都に行った。初めての旅行だった。


清美(きよみ)おばさん
私と春彦さんは夜の鴨川を散策していたの。ちょうどその頃は中秋の名月の時期で、川に月が映って綺麗だったのよ。近くの店に立ち寄って、春彦さんが私に藤細工を買ってくれたの。だけど、



悲劇はそんな仲睦まじい新婚夫婦にも容赦なく襲いかかる。


清美(きよみ)おばさん
突然春彦さんがうめき出したの。その声が人間のものとは思えなくて、驚いていたら春彦さんは人を襲い始めたの。びっくりして止めようとしたけど、全く聞いてくれない。春彦さんは鬼になってしまったのよ。
英田灯理(あいだとうり)
え…
清美(きよみ)おばさん
だけど、一番近くにいた私だけは、春彦さん、襲わなかった。



藤細工を持っていたからだ、と俺は思う。鬼は藤の匂いを嫌う。偶然あげたものが最愛の人を守ることになったのだ。


清美(きよみ)おばさん
そうしてたら鬼狩り様が来て、春彦さんの首をはねてしまった。



俺は叔父の死の真実を聞いて呆然とした。叔父は鬼になって死んだのだった。


英田灯理(あいだとうり)
鬼は…、やっぱり許せないな。



鬼のせいで清美おばさんは夫と姉家族を失った。俺は家族と親友を失った。人を喰う鬼はやはり滅さなくてはならない。


清美(きよみ)おばさん
ねぇ、灯理ちゃん。姉さんは最期に鬼の存在を知らせようとしてたんじゃないのかしら。姉さんも春彦さんの話は知ってるから見た瞬間に分かったはずよ。これは人喰い鬼だって。
英田灯理(あいだとうり)
ッ…。



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灯理の母
ここは危険よ。あなたたちだけでも生き残ってちょうだい。ここには『鬼』がいる…。

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もし、本当に母さんが俺にそう言い残したのであれば…、


英田灯理(あいだとうり)
母さんっ、ごめんなさい…!俺、おれ…、流たちを守れなかった…!



涙が出ない代わりに、みっともない声が出た。この世にいない母さんに謝り続ける俺を、清美おばさんは背中を撫で続けて慰めてくれた。その手は母さんとよく似ていた。











翌朝は夏らしく晴れた天気だった。


英田灯理(あいだとうり)
清美おばさん、泊めてくれてありがとう。
清美(きよみ)おばさん
いいのよ、気にしないで。灯理ちゃんに会えてどれだけ嬉しかったことか…。また、いつでもいらっしゃい。あ、そうだわ、次来る時は灯理ちゃんの恋人も一緒においでなさいよ。その人が灯理ちゃんに相応しいかどうか、姉さんの代わりに見極めなくちゃならないものね。
英田灯理(あいだとうり)
ははは、義勇さんはいい人だよ。じゃあ次は義勇さんを連れてすぐに顔を見せに来る。
清美(きよみ)おばさん
ええ、待ってるわ。灯理ちゃん、元気でね。
英田灯理(あいだとうり)
ああ、清美おばさんも。



次に俺と義勇さんの非番が重なるのはいつだろうか、そればかり考えていた。















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???
産屋敷さん、我々に力を貸していただくことは出来ませんか。



産屋敷家当主は自邸で軍服を着た男の相手をしていた。この男がここへ来たのはこれで3回目である。


産屋敷耀哉
前も言った通り、それに協力はできない。私の子供たちは一人でも欠けてはいけないんだ。
???
ですが、貴方がたのお力添えがあれば我が国は…
産屋敷耀哉
話し合いは以上にしよう。私は何を聞かされても折れるつもりはないよ。



その言葉を聞いた軍服の男は少し考える素振りをしてから言った。


???
そうですか。では上にそのようにお伝えします。が、貴方のお考えがこれからも変わらないと、そうおっしゃるのならば、我々も手段は選ばないつもりですよ。



男が部屋を出ていったあとも彼は一人そこに座っていた。


産屋敷耀哉
私の子供たちは人を守るために鬼と戦っている。彼らが刀を握るのは人を救うためであって、人を殺して国を守るためではない。子供たちを徴兵から守らなくては。戦争などに行かせてはならないんだ。


|・ω・)ノ[終]|・ω・)ノ[終]|・ω・)ノ[終]|・ω・)ノ[終]|・ω・)ノ[終]

今回ちょっと長めでしたね…。なので今回のあとがきはちょっと短めにしようかと。灯理くんの唯一の親戚、それは灯理くんのお母さんの妹、清美おばさんです。灯理くんの家族が鬼に襲われたとき、お母さんが「清美おばさんのところまで走りなさい」と言った時に名前だけ出てきてた人です。実は双子だったと。それにしても、英田家、人死にすぎじゃない??灯理くんと清美おばさんしか生き残ってないじゃん()

とまぁ、そんなことは置いといて。最後、お館様が謎の軍服男と話していましたね。これが今後に与える影響とは…というところがこの作品の見どころと言ってもいいです!‪w鬼殺隊がだんだん社会の情勢に巻き込まれていく様をど どうかこのあともご覧下さい(●´_ _)ペコ


⭐&♥️&💬 welcome!

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