数分歩いた後に着いたのは村の端のとある家。ここは俺の村の元村長だった、俺の母方の祖父の家。祖父と祖母が亡くなったあと、ここに住んでいるのは、
俺の母さんの妹の清美おばさんだ。
母さんと清美おばさんは双子だ。顔だけじゃなく仕草も声も全てが似ている。
ここへは小さい頃から何度も来ている。清美おばさんは俺の年の離れた姉のような存在だ。これを言ったら母さんが「私も清美も同じ歳なのよ!」って怒るから言ったことはないのだけれど。俺が生まれる前に祖母が亡くなり、その後を追うようにして俺が生まれてからすぐ、祖父も亡くなった。光が生まれた頃に清美おばさんは結婚したが、すぐ旦那さんを亡くしている。
見慣れた居間のちゃぶ台にご飯が並べられる。
麦と味噌汁とほんの少しの漬物。たったそれだけだが、そのそれだけも食べれない人はこの世にたくさんいる。
ご飯を食べ始めてすぐ、俺は話を切り出した。
あの小さな墓。一家で誰一人あの場に帰ってこない中で、それを作ってくれたのは清美おばさんだと俺は考えた。墓の前に置いてあったすみれの花は清美おばさんの一番好きな花だ。末っ子のすみれという名前もそこから来ている。
俺は何も言うことが出来なかった。今ではかなり回数は減ったが、それでもたまに考えてしまうことがある。
“俺は、本当に生きていて良かったのか?”
と。母さんを、目の前にいたのに救うことが出来なかった。父さんの最期すら見ていない。弟妹たちを鬼の近くに来させてしまった。だから死んだ。家族が死んだ。俺は家族の命と引き換えに今も生きているのではないか、とそう思ってしまうのだ。
俺はあの日の出来事を最初から全て語った。それから今、俺が何をしているのかも。その話はとても長いもので、全て語り終えた時には夜もだいぶ更けてしまっていたが、清美おばさんは最後まで真剣に聞いてくれた。
春彦さんというのは清美おばさんの旦那さんの名前だ。
それは二人の新婚旅行ときの話だった。結婚してから数ヶ月後、二人は京都に行った。初めての旅行だった。
悲劇はそんな仲睦まじい新婚夫婦にも容赦なく襲いかかる。
藤細工を持っていたからだ、と俺は思う。鬼は藤の匂いを嫌う。偶然あげたものが最愛の人を守ることになったのだ。
俺は叔父の死の真実を聞いて呆然とした。叔父は鬼になって死んだのだった。
鬼のせいで清美おばさんは夫と姉家族を失った。俺は家族と親友を失った。人を喰う鬼はやはり滅さなくてはならない。
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もし、本当に母さんが俺にそう言い残したのであれば…、
涙が出ない代わりに、みっともない声が出た。この世にいない母さんに謝り続ける俺を、清美おばさんは背中を撫で続けて慰めてくれた。その手は母さんとよく似ていた。
翌朝は夏らしく晴れた天気だった。
次に俺と義勇さんの非番が重なるのはいつだろうか、そればかり考えていた。
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産屋敷家当主は自邸で軍服を着た男の相手をしていた。この男がここへ来たのはこれで3回目である。
その言葉を聞いた軍服の男は少し考える素振りをしてから言った。
男が部屋を出ていったあとも彼は一人そこに座っていた。
|・ω・)ノ[終]|・ω・)ノ[終]|・ω・)ノ[終]|・ω・)ノ[終]|・ω・)ノ[終]
今回ちょっと長めでしたね…。なので今回のあとがきはちょっと短めにしようかと。灯理くんの唯一の親戚、それは灯理くんのお母さんの妹、清美おばさんです。灯理くんの家族が鬼に襲われたとき、お母さんが「清美おばさんのところまで走りなさい」と言った時に名前だけ出てきてた人です。実は双子だったと。それにしても、英田家、人死にすぎじゃない??灯理くんと清美おばさんしか生き残ってないじゃん()
とまぁ、そんなことは置いといて。最後、お館様が謎の軍服男と話していましたね。これが今後に与える影響とは…というところがこの作品の見どころと言ってもいいです!w鬼殺隊がだんだん社会の情勢に巻き込まれていく様をど どうかこのあともご覧下さい(●´_ _)ペコ
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。