第7話

第6楽章
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2025/04/11 12:00 更新










やっぱりよく眠れなかった。

確実にあのイケメンのせいだ。


欠伸を噛み殺しながら廊下を歩いていると、妙な人だかりができていた。

しかも大半が女子だ。

教室へ近づけば近づくほど人は増えていく。


「うわ、だる……」


人をかき分けて何とか教室の中へ入ったが、
教室の中まで人だらけだった。

しかもあの席は……大森の席?



「……で、あなたとあの人はどんな関係なんですか?」

「はぁ?いや、どんなも何も……」
「だからさっきから言ってるでしょ、ただの友達だって」



俺は強烈に嫌な予感がした。

大森の声と……昨日聞いたばかりのハキハキとした声が聞こえてくる。

こうなったらサボってやろうかと教室を出ようとしたのに、人と人の隙間から目ざとく見つけられたらしい。


「おい、涼ちゃん!おっまえ、逃げようとするんじゃねぇ!!」
「大声出さないでよ。こっちは寝不足だってのに……」

「りょう……?それが彼の名前ですか?」



あぁ、もう……本気で面倒臭い。どうしてくれようか?


大森の名前だけで俺の学年と教室を当てたのか。
確かに大森は目立つからな……

もっと適当な名前を名乗っておくべきだった。

「りょう、じゃない。いい加減やめろその呼び方」

「今日はいつもより更に不機嫌?ってか、このイケメンあんたのでしょうが。」
「何とかしてよ!さっきから質問責めにあって困ってるんだよ」



大森の言葉に周りの女子の視線が一斉に俺へ集まってくる。

あー......最悪。
イケメンは全く気にもしないでにっこにこしやがって。



「……ばか。おい、あんた!こんなとこまで来るんじゃないよ。ちょっと来て」
「え、あ……はいっ!」

「ええ、行っちゃうの若井くーん」



女子たちがざわざわしているせいで、
余計にイライラしてきた。

俺が睨みつけると女子たちはようやく道をあける。


イケメンは俺の気分も何もかも無視して、俺の後に嬉しそうについてきた。



「はぁ……よく分かんないけど、がんばれー」
「っるさい!」



まだ授業は始まらない時間だし、俺はサボっても構わないけどイケメンはよく分からないし。

こういう面倒ごとはさっさと済ませた方がいい。


俺はズンズンと歩いて、なるべく人気のない場所へ移動する。

しかし、こいつは顔がいいせいで歩くだけで目立つ。

一緒にいる俺はいい迷惑。



「………無駄に笑顔振りまくのやめて」
「え、笑顔?いや、別に普通だけど……」

「じゃあ、顔隠して!」
「えぇ、?」

俺が悪態をついても、
イケメンは全くめげないしむしろ嬉しそうに笑いやがる。

ほんとにになんなの?こいつ。


俺の鳥肌は、今日もイケメンがきもいと反応している。

俺は一気に階段を上りきり、屋上へ続く扉を押し開いた。


「……ここでいっか。で、一体おんたは何な訳?」
「だから、ずっと君を探してた......って、馴れ馴れしいですよね。すみません」


イケメンは今更敬語に直して謝ってくる。
俺はイライラが増してくるが、必死に抑える。


「今更馴れ馴れしいとかどうでもいい。ってか、なんでわざわざ教室まで付け回すんの」
「だから、俺の運命の音色で……」

「だー、っ……いい!そのくだりどうでもいい!もう二度とつきまとうなって言ってんの」


俺が言い放つとイケメンは一瞬寂しそうな表情をするが、首をブンブンと振る。


そして、決意を秘めた真っすぐな瞳で俺を射抜いてくる。














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