第38話

第35楽章
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2025/05/14 03:15 更新
音瀬 入真
蘭!?
 その声に、部屋の中にいた全員の視線が一箇所に集まる。そこにはちょうど部屋に入って来たらしい入真がいた。その表情は若干焦りを滲ませている。蘭の声が聞こえて慌てて駆けつけたのだろう。
いるま…
音瀬 入真
大丈夫か?どっか痛いとことかないか?
ううん……だいじょぶ
音瀬 入真
そっか…
 ほっと安心したような表情を浮かべると、そのままベッドサイドまで歩いてきて、優しく蘭の頭を撫でた。その優しい手つきに、蘭も気持ちよさそうに目を細めるが、すぐにハッとして「いるま!」と声をかける。
音瀬 入真
ん?
すちのあし……らんのせい……
 蘭が必死に言葉を紡ぐと、入真は驚いたように目を丸くしてから小さく笑った。その反応に蘭は首を傾げる。
音瀬 入真
澄智がこけたんは自分のせいだろ?蘭は何も悪くねぇよ。強いて言うなら勝手に家から出て俺らに心配かけたことだな
で、でも!いるまのばんそう
音瀬 入真
 優しい声で入真は蘭の言葉を遮った。そのままゆっくりとした動作で蘭の額に自身の額を押し当てる。
音瀬 入真
蘭、俺は確かにこのコンクールで優勝するのが夢だった。けど、それは蘭よりも大事なことじゃない。俺は蘭が無事で、今ここに、俺のそばにいてくれることが何よりも大事なんだよ
いるま……
音瀬 入真
だから、お前が責任を感じることなんてない。わかったな?
 入真の言葉に蘭は何度も頷きながら涙を零した。そんな蘭を慰めるように入真はそっと抱きしめると、背中を優しく叩く。まるで泣き止まない子供をあやすかのように。

 その様子を見守っていた4人も安堵したのか、緊張が解けたように大きく息を吐き出した。
音瀬 実琴
うっ…なんか……俺まで泣きそうになった
音瀬 夏
わかるわ。なぁんかこう……込み上げてくるもんがあるよな
音瀬 澄智
昔の入真ちゃんからは考えられないよね
音瀬 小雨
だよねぇ。昔のまにきに見せてみたい
音瀬 入真
おい、おまえら!黙って聞いてれば…!
音瀬 小雨
あ、入真くんが怒ったぁ〜
音瀬 入真
ほう…いい度胸だな、小雨くん?
音瀬 小雨
わ!?ちょ、ごめんって!
 小雨の予想に反して、思ったよりも殺気立った入真に小雨は焦る。それにドッと笑いが起り、部屋は和やかな雰囲気に包まれた。
ふふっ……
 そんな笑いにつられ、蘭の涙もいつの間にか引っ込んでおり、気づいた時には楽しそうに笑っていた。そんな蘭を見て入真は一瞬だけ目を見開くと、優しく微笑む。そしていつものように、蘭の頭を撫でてくれた。

 そう、すべてはいつも通りに戻ったと思われたのだ。だが、蘭は密かに決意を固めていた。
(今度こそ、らんがみんなを…いるまを助けてみせる)
作者
作者
お久しぶりです…!!
衝動で書き上げたので規則外に投稿します!
ちなみに明日も出します!

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