夜久 side
きっかけは分からない。というよりない。
気づけばあなたを好きになっていた。ただそれだけのこと。
優しいとか、明るいとか、ノリが良いとか。
好きになった要因はあっても、そこが。そこだけが好きなわけじゃない。
声が震える。
あなたの肩がじわりと濡れる。多分、俺のそれに気づいてて。それでも言わないでくれている。
かっこ悪いのも、ダサいのも、うじうじしてんのも全部俺だ。
当然といえば当然な問い。
さっきと似た問い。
迷うことなくそう答えた。
『 ずるいかな 』苦笑気味に零すと、『 ずるいよ。』と返ってくる。
でも、どこか嬉しそうな声で。あなた自身を肯定しているような声で。俺も嬉しくなる。
未だ肌に感じるあなたの体温。その熱さがどれだけあなたが苦しんでいるのかを思い知らされる。
助けになりたい。あなたを好きになった特別な何かがなくとも。あなたに持った特別な感情に嘘をつきたくない。...幸せにしてやりたい。
いつでも、他人を優先しちゃうやつだから。
あなたは黒尾への気持ちを押し殺しているのに
俺は俺のわがままな感情をあなたに押し付ける。
ダサくても、カッコ悪くても良いから。
...俺は、あなたのそばに居たい。
少しの沈黙の後、掠れた声で話し出す。
期待を含んだ声で。俺を信じてくれているような声でそう聞いてきた。
どれだけ抱きしめても、あなたの手が俺に回ってくることはない。
それが今のあなたの気持ち。分かってる。
全部、覚悟の上のわがままだ。
いつも、自分に自信がなくて謝ってばかりのあなただった。
そんなあなたを、少しでも変えられたのなら
.....俺があなたを好きでいることに意味が生まれる。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。