サナside
私達は舞台袖からあなたのソロを見守ってた。
その後のパフォーマンスでも変わった様子はなくあなたはアンコールまでやりきった。
辛い顔は一切見せず、ただ完璧なアイドルがステージに立ってる。
笑顔でonceにコメントするあなた。
一見普通にコメントしてるように見えるけど、なんだか呼吸が浅くなってるように見える。
今すぐにステージ降りて休んで欲しいけど、もうLIVEも終盤だし今ここで休んでって言っても絶対最後までステージに立つんやろうな…
LIVEが終わり幕が完全におりてonceからはもう私達は見えない。
マイクとイヤモニを外してあなたに駆け寄るとあなたはキョトンとした顔してる。
どうしたのって…
あなたが心配やから来たのになんでそんなキョトンとしてるん!
久しぶりに見た気がする。
あなたのこんなにも優しい笑顔を。
ツアー中のあなたは笑顔なのにどこが儚げやったから
その笑顔で自分は心配しすぎたんやなって思えてくるわ
ウチがつい大きな声であなたの名前を言ったからほかのメンバーが心配して集まって来ちゃった…
またキョトンとした表情。
ホンマに早とちりして申し訳ない…
さっきまでうちのせいで少し暗い雰囲気にしちゃったけどあなたのおかげで明るい雰囲気に戻ってよかった…
みんなで控え室に戻って着替えを終えた人からマネージャーの車に乗り込む。
途中あなたが控え室からおらんくなったけど、お手洗いに行ってるのかな?
先に車行って待ってよ!
でも、あなただけ車には来なかった。
マネージャーに確認すると会社のお偉いさんに捕まってるみたい。
仕方ないからあなたを残してみんなでホテルに向かう途中1台の救急車が会場に向かって走っていった。
何かあったのかな…?
そう思いながら私はホテルに着くまで寝ることにした。
今あなたが大変な状況とは知らずに…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。