岩本Side
初めに異変に気づいたのは佐久間だった。
1人でコップを3つも持てなくて困ってんのかな…? なんて、思う。
そう佐久間に告げると佐久間も気になっているのか立ち上がり、
なんか、珍しくバカテンションじゃないな…
部屋を出て、エレベーターで1階まで降り、
ドリンクバーエリアに近づく。
その光景を見たとき、
俺も行けば良かったと後悔した。
今にも殴ろうとしている奴の手首を掴む。
今にも泣きそうな顔の亮平。
自分にもソイツらにもフツフツと怒りが沸いてくるのがわかった。
佐久間が亮平を抱きしめて傍にいてくれているのを確認してから、視線を戻す。
モブ1「あ"ぁ!?ソイツが俺にコーラを
かけてきたんだよ!!」
亮平が…?
あぁ、いつものおっちょこか…
モブ2「そんだけかよ!!こんなに服汚しといて」
モブ1「あ"ぁあ"!?」
モブ3「警察呼ばれたらマズくね?」
モブ2「…次会ったら容赦しねぇぞ!!」
ありきたりな捨て台詞を吐いて3人組はその場を去って行った。
亮平は大分落ち込んでいるというか怖かったのだろうか言葉がいつものようにスラスラと出てきてない。
俺はなんて声をかけたらいいかわからなかった。
声をかけたのは佐久間だった。
そう言って佐久間は亮平の頭を撫でている。
その間にLINEを開き辰哉さんにメッセージを送信しスマホをポケットに入れる。
翔太さんでも蓮でも良かったが辰哉さんが適任だろう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。