『おつかれさまでーす』
ガヤガヤする部屋の中...
メンバーは顔に疲れたって書いて
項垂れたり スマホを見たりしてる
さっさとここから出たい
そう思って立ち上がろうとしたとき
珍しくそう言うユンギに
全員の顔が上がった
さらっとマネージャーに伝えると
部屋の空気はガラッと変わった
話があるって言い出したはずのユンギが
急いで部屋を出ていってしまった
よくわからない状況に
みんなスマホを置いて
イスにも座り直した
笑いたくても笑わないといけない
したくなくてもしないといけない
自分の気持ちをすべて隠して
オンとオフの切り替えるタイミングさえ
もう最近は分からなくなってきた
テヒョンみたいに口に出せることさえ
僕には羨ましいよ
何かを考えながら
首を傾げる姿は違和感しかなくて
みんななんて声をかけていいのか悩んでる
ガチャ...
開いたドアを全員が見れば
ユンギが入ってきた
そしてユンギの後ろからゆっくり出てきたのは
ぱっと見て美人と分かる綺麗な女の人
艶のある長い髪を耳にかける仕草は
スローモーションのように感じられるほど妖艶だった
ぼそっと聞こえた声を聞いて
頭の中が一気に動き出した
記憶を辿っても
どうしてもあなたとは思えなかった
この女の子を見ても
僕の知ってるあなたは思い浮かばない
いや、僕が最後に会ったあなたを
思い出せないだけかもしれない...
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!