時は流れ、植物園のランウェイにて
花で彩り取りに飾られたランウェイには、大勢の妖精たちが集まっている
既に中は花の甘い匂いと、ショーを見た妖精たちの拍手の音で満ちていた
拍手音で満ちる空間で、ランウェイの上に現れたのは黒を基調とし、それぞれのイメージカラーのアクセントが加えられた衣装を身に纏う
今回のテーマ「悪役」にピッタリな三人であった
それに妖精たちは興味を惹かれる
真ん中を行くのはグラ。その赤い髪を一切乱さずに、ただ真っ直ぐランウェイを歩く
高貴な印象を受ける歩き方に対して、時折入るステップは軽やかである
グラよりも数歩後ろの右を行くはリア。2つに纏めた桃色の髪を左右に揺らしながら、薄く笑みを浮かべ進む
胸を張って堂々と歩くのに対し、途中途中のアクションは何処までも繊細
グラと同じほどの位置で左を行くはルクス。黒髪を風で靡かせながら、時折髪を払うような動きをする
質素であるが完璧に歩くが、途中に入るアクションでは大胆かつ丁寧
そのどれもが魅力的で素晴らしいが、自身の存在を主張するにも関わらず、互いの存在をかき消さずに引き立てるパフォーマンスは、誰をも魅力した
今までのパフォーマンスをも凌駕する勢いで、三人は軽やかでありながら激しく振り付けをする
もはや彼らの独壇場で、まるで洗脳のように妖精たちは近づき、心奪われた
それは女王も例外ではない
それを確認した三人は、それぞれ視線を交わすと、グラのみでの一人パートが始まった
圧倒されるオーラでありながら、その軽やかなステップを踊る様は、まるでこの場を楽しんでいる悪魔のような、そんな無邪気さも兼ね備えていた
一頻り踊り終わった後、グラよりも二人が前に出て、息ピッタリのパフォーマンスを披露する
仕上げも完了し、三人は女王含めこの会場の視線を、全て"独り占め"にしたのだ
さぁ、後はティアラを偽物とすり替えてしまうだけだと、三人はもうひと踏ん張りした
…結果、途中問題もあったが無事に作戦は成功し、学園内の温度は正常となった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。