それぞれの部隊について、馨が説明していく。
「戦闘部隊は、桃機関と最前線で戦います」
生徒の半数くらいは、この部隊を希望している。
四季くんに碇くん、迅くんも確定ではないけど多分ここ。
能力だけで見れば、殆どが戦闘向きと言えるね。
「医療部隊は、戦闘で負傷した者の治療だけではなく、隠れて生活している鬼の診察なども行います」
明確に医療向きの能力を持っている生徒はいないけど、戦うよりも誰かの役に立ちたいと思う生徒がいたら、この部隊所属になるんだろう。
「そして偵察部隊の主な仕事は、隠密。僕たちは敵に悟られることなく、情報収集や追跡、時には接触します」
能力で見れば従児くんが合っている。
5キロ圏内の生物を確認できて、さらに桃太郎かどうかもわかるのは、当然敵の配置を知ることにも役立つ。
桃太郎の襲撃への対処も得意だろう。
とか考えていたら、従児くんが馨に質問する。
「あの、1ついいですか?」
「はい、どうぞ」
「今日って、いろんな話を聞くんでしょうけど、ノートとかとらなくていいんですか?」
昨夜の発言が嘘のような優等生っぷり。
でも、普通の学校の優等生って感じ。
「逆に聞きたいんですけど、敵の前でもノートを広げられますか?」
「あ…」
「もちろん記録を取ることは重要です。だけど僕たち偵察部隊は主にここに大事な情報を収める」
自分の頭を指差す馨。
「それが、命懸けで得る情報なら尚更ね」
さらっと自然にタメ口になった馨は、また敬語に戻って話す。
「さっき僕は、練馬の隠れ家を君たちには教えませんでした。もうその理由はわかりますよね。もし誰かが桃太郎に捕まって拷問されたりしたら、困るでしょ」
「!」
「んなことされたって喋らねえよ」
口を尖らす四季くん。
「その気持ちは素晴らしいと思います。でも桃太郎は、そんな甘い存在ではありません。それに、桃太郎が鬼と同様に様々な能力を持っているのは、知ってますよね」
「…」
「…あ、あの。それって人の心を読んだりできるのもあるんですか…?」
おずおずと帆稀ちゃんが質問する。
「その可能性が無いとは言い切れません。特殊な能力を持つ桃太郎は、仲間内でもその詳細を秘密にしているらしいです」
敵に詳細がバレて対策されないように。
味方が知らない方がやりやすい。
あるいは、敵を騙すには味方から、といった理由からだろう。
まあ、一番目の理由が最も多いはず。
「でも、もしその情報を手に入れられれば…」
「!」
馨が全て言わずとも、生徒たちは理解した。
「だから情報って重要なんですよ」












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!