「ここに鬼のアジトがあんのか」
と言うのは周りをキョロキョロと見渡す四季くん
船から降りて電車で目的の駅で降りて、のどかな京都の地を歩く。
都会のビルだらけの景色とは違って昔ながらの建物が続く道は、アスファルトではなく石畳。
「この辺は確か、入生田寺がある場所ですね」
「従児くん博識ですね」
お寺とか好きなのかな?
「いえいえ、そんなことは」
「そうだ。これから入生田寺の地下に行く」
ローラースケートで歩く無陀野先生が先導し、私はみんなの後ろを歩いていくと、水元と書かれたお店で止まる。
京都支部につながるいくつかの出入り口の1つだ。
「ここって、ただの飯屋じゃん。…ん?」
四季くんが不思議に思っていると、カラカラと扉が開いて「お待ちしてました」とご年配の女性が顔を出した。
「こちらへどうぞ」
その女性に案内されて部屋の1つに通される。
女性が綺麗な所作で頭を下げると、畳の1つから下に行く階段が現れた。
「おいでやす」
木製の階段を1列になって降りた先は、向こうまで続く地下道。
かなり幅に余裕があるけど、それでも1列になって無陀野先生についていく姿は、やはり学生なんだと思わせる。
「すげー!京都の地下はこんなになってんのか」
無陀野先生が主に四季くんに向けて説明する。
「周辺のいくつかの店には、入生田寺の地下に続く通路がある」
「へぇ」
そうして気づけば突き当たりへ。
「着いたぞ。入生田寺のさらに下」
先生が扉に手をかける。
「ここが鬼機関の京都支部だ」
扉が開いた先には、さっきまでの金属やらコンクリやらで作られていた通路とは打って変わって、木造な昔ながらの日本、という感じの部屋が広がっている。
私にとって懐かしい場所。
「屋敷かよ」
「入生田の地下にこんなものが」
四季くんや従児くんが驚いていると、奥の方から「先生お願いします」という女性の声が聞こえた。
どうやらかなり切羽詰まってるみたいだ。
「はぁいはぁい。カリカリせず悠々と行こうよ」
部屋から出てきた男性は花魁坂先輩。
無陀野先生の同期だ。
「そんな余裕ありませんよ!」と部屋の方から女性に言われている花魁坂先生は、こちらを見てパッと表情を明るくする。
「あれ、ダノッチじゃん!」
ダノッチは無陀野先生のことだ。
「早いねいつ来たの?メッセしてよー」
「今着いた」
「てかあなたの下の名前ちゃん久しぶりー。最後に会ったのいつだっけ?」
「お久しぶりです花魁坂先輩。あまり長く会っていなかったわけではないと思いますけど…」
あれ?そうだったっけ?、と首を傾げる花魁坂先輩。
まあ会う時は大体、誰かの命が危ない時の方が多いから、久しぶりとか思えない状況の方が多いもんね。
「うっそ、可愛い子いるじゃん。俺前髪大丈夫?うわぁ、ちゃんとセットしてー」
続いて花魁坂先輩の視線は水鶏ちゃんに向き。
「とりあえずメッセ教えて?」
「チャラい奴マジ無理」
即フラれた。
年齢考えたらアウトですよ、花魁坂先輩。
「うわー、ヘコ…まなーい!タイミングって大事だもんねー」
いつも通りチャラい&ポジティブ。
この辺クズ森(紫苑)とそんなに変わんない。
よくナンパするチャラいやつは大体ポジティブっていうのは、私の偏見かな?
「なんだよこのチャラ男」
あ、四季くんもやっぱそう思うよね。
花魁坂先輩こう見えて、
「こいつは花魁坂京夜。鬼機関京都支部援護部隊総隊長だ」
「ダノッチとは羅刹学園の同期なのよ。イェイ」












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。