偵察部隊、医療部隊、戦闘部隊と3つの部隊に話を聞き終わったら、もう日が傾いていた。
「今日の見学は以上だ」
「やばい。頭に入りきらねえ」
「すみません。筋肉がなくてすみません」
「眩暈がする。もしかして何かの病気なのかもしれない…」
「大丈夫か?私の膝で休んでいいぞ」
お勉強がそこまで得意じゃない四季くんは覚えることが多く、帆稀ちゃんは戦闘部隊の訓練で自分の力の無さを知り、苦戦していた。
ロクロくんと水鶏ちゃんはいつも通り。
「この程度でへばるな。明日はそれぞれ気になった所にバラけて、さらに細かい見学だ」
こうして2日目の実習は終了した。
最も私は、採血に行く四季くんの引率という仕事があるけど。
「じゃあナツくん。行きましょうか」
土地勘があるわけじゃないから大人しくスマホの地図を見て、1軒の団地にたどり着く。
目当ての部屋の前に着いてインターホンを押すと、返事もなしにドアが開いた。
「ういーす、うぃっす。十河、そっちが目当ての子だね。2人とも入んなー」
「お邪魔します」
医師兼研究者のメアリー亜紀さん。
メガネにソバカスと魅惑の唇、高身長で胸が非常にでかい。
「失礼します」
「キミが鬼神の子かー。カワイイじゃん」
珍しく四季くんが行儀がいいけど、まあ、あれだよね。
男子高校生って感じだなー、うん。
「はーい、終了」
「え、終わり?」
「まあ、採血だけだしね」
注射器1本分の血を採って、採血は終わった。
カルテを書く亜紀さん。
「ん?」
亜紀さんに反応され、四季くんはやましいことを考えていたのか、顔を逸らす。
「見たいなら見ていいぞ。ほれ」
「亜紀さん、セクハラですよ」
服を捲って胸を露出させる亜紀さん。
男子高校生には刺激強いって。
四季くん、放心状態になってるじゃん。
「つっても私の垂れ乳じゃあれか?十河…は乳なかったな」
「悪かったですね、まな板で。というかいい加減服下ろしてください」
私がそう言うと、亜紀さんは素直に服を下ろした。
そこでようやく四季くんの反応に気づいたよう。
「あれ、童貞か?」
その言葉にグッと言葉を詰まらせる四季くんに、亜紀さんは畳み掛ける。
「童貞なら、もらってやろうか?」
「亜紀さん、完全アウトですって」
タジタジになった四季くんは、前のめりになった亜紀さんから離れようとして、椅子ごと後ろに倒れ込んだ。
「その、なんで!?」
声が裏返っている。
「ま、生理中だから今度だけどねー。そん時は性癖捻じ曲げてやんよ」
「はァ!?」
四季くんは立ち上がると、逃げるようにドアへと向かった。
「じゃ、じゃあ俺はこれで」
「垂れ乳は嫌いだったか?美乳なんざクソ喰らえだろうが」
「亜紀さん、そういうんじゃないですよ。私もこれで失礼します。採血、ありがとうございました」











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!