No side
タッタッタッタッタッタッ
ヒマナツ side
今日は敵がいつも以上に多かった
その分魔力も大幅に消費した
ここんとこの魔物は少しばかり強くなった気がする
.....そして魔族も同じことが言える
さっきも6人がかりでさえ苦戦しまくってた
そんな俺が魔王なんかを倒せるのだろうか
時々そう思ってしまう
そんな咄嗟に出た一言のすぐ後に戸を叩く音が聞こえた
そうして入ってきたイルマの手には菓子があった
そう言って笑顔をこちらに向けたコイツは俺の幼なじみである
昔からずっと一緒で入団したのも同じだ
そんなイルマの前では何かと安心出来る俺がいる
小さい頃からあの笑顔を見るだけでどんな状況でも心が落ち着く気がした
俺がそんな事を心で思ってた中、イルマは手に持っていた菓子を並べ始めた
ダ・カーポベリーとは今の時期旬のベリーだ
甘酸っぱい味で俺が好きな果物である
俺は堪えられず手を伸ばし、それを口に入れた
これを好きって言ったのはかなり前だ
そんな事も覚えているのかと俺は呆然とした
俺らはただの子供では無かった
いわゆる"訳あり"だ
俺は子供の頃とんでもない絶望に陥った事がある
この人生を辞めてしまおう
そんな事を何度も思った記憶が未だ鮮明に流れる
でもそんな心の闇を少しづつ照らし、手を差し伸べてくれていたのは
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。