〜海人side〜
あの日から数日が経っていた
毎日平野先生を見ると
あの時のことを思い出してしまい
なぜかツラくなったりする
それはきっと
平野先生のあたたかさが
両親のあたたかさに似ていたからだと思う
考え事というより
あの時平野先生を拒絶してしまった
後悔が俺を侵食しているのかもしれない
渡されたのは小さく折り畳まれた紙
なんだろうと思いながら紙を開くと
ーーー
今日、相談室で待ってる
ーーー
というたった一文だけ
カツカツとローファーの音が廊下に響いている
放課後の静けさは少し不気味だ
それも今は誰もいない廊下を歩いているから
なおさら不気味さが増している
俺を呼び出した人
あれは岸先生ではない
俺にはわかる
綺麗に書かれた文字
そして相談室
そこを指定する人物は
1人しかいない
相談室の扉の前に着いた
俺は一回深呼吸をして
答え合わせをするように
ガラガラと扉を開いた
そこには予想通りの人
平野先生が椅子に座っていた
平野先生はニコッと微笑みながら
目の前の椅子を指差した
何かを悟ったのであろう
平野先生はそう言った
前みたいなこと…か
どう返したら良いかわからず
ただ、はい、と返すことしかできなかった
久しぶりに平野先生と笑い合った
落ち着く
あたたかい
そう、何も嫌じゃなかった
本当はあのまま時間が止まっても良かった
…生徒と先生という壁がなければ
急に俺のことと言われ
どういうことかよくわからなかった
辞める、?
俺のためだけに、?
いや、そのくらいの覚悟があるってことなのかもしれない











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。