第10話

10
262
2025/06/02 01:00 更新



〜海人side〜



神宮寺
かーいと!一緒に帰ろ!
海人
あ、うん



あの日から数日が経っていた
毎日平野先生を見ると
あの時のことを思い出してしまい
なぜかツラくなったりする
それはきっと
平野先生のあたたかさが
両親のあたたかさに似ていたからだと思う



神宮寺
…なんか最近、海人ぼーっとしてること多いよね
神宮寺
大丈夫?
海人
うん平気平気
海人
最近考え事してて…



考え事というより
あの時平野先生を拒絶してしまった
後悔が俺を侵食しているのかもしれない



生徒
あっ!いたいた!髙橋ー!
海人
…?
海人
どうしたの?
生徒
これ、髙橋に渡してって言われて…



渡されたのは小さく折り畳まれた紙
なんだろうと思いながら紙を開くと



ーーー
今日、相談室で待ってる
ーーー



というたった一文だけ



神宮寺
…もしかして告白か?
生徒
さぁ?先生に渡されたからよくわかんない
海人
先生って誰だった?
生徒
岸先生だよ
生徒
あれ?髙橋って岸先生と何か関わりあったっけ?
海人
うーん、思い当たらない…
海人
まぁ、でも行ってみるよ
海人
だからじんは先帰ってていいよ
神宮寺
それなら仕方ないかぁ
神宮寺
わかった!でも明日は一緒に帰ろーな!
海人
うん!






カツカツとローファーの音が廊下に響いている
放課後の静けさは少し不気味だ
それも今は誰もいない廊下を歩いているから
なおさら不気味さが増している



海人
……



俺を呼び出した人
あれは岸先生ではない
俺にはわかる
綺麗に書かれた文字
そして相談室
そこを指定する人物は
1人しかいない



相談室の扉の前に着いた
俺は一回深呼吸をして
答え合わせをするように
ガラガラと扉を開いた



海人
…平野先生



そこには予想通りの人
平野先生が椅子に座っていた



紫耀
…髙橋、



平野先生はニコッと微笑みながら
目の前の椅子を指差した



紫耀
よければ座って
海人
紫耀
…大丈夫、前みたいなことはしないよ



何かを悟ったのであろう
平野先生はそう言った
前みたいなこと…か



海人
はい…



どう返したら良いかわからず
ただ、はい、と返すことしかできなかった



海人
……それで、何か話したいことがありましたか?
紫耀
うん、あるよ
紫耀
あるから呼んだんだよ?笑
海人
…たしかに笑



久しぶりに平野先生と笑い合った
落ち着く
あたたかい



紫耀
…この前はごめん、
紫耀
俺の感情だけを押し付けちゃって…
海人
…いえ、大丈夫ですよ



そう、何も嫌じゃなかった
本当はあのまま時間が止まっても良かった
…生徒と先生という壁がなければ



紫耀
それで俺、もう一回考えたんだ
海人
なにを、ですか、?
紫耀
髙橋のこと
海人
ッ…



急に俺のことと言われ
どういうことかよくわからなかった



紫耀
やっぱり俺、髙橋が好きなんだよ
紫耀
入学式で目を合わせたあの日から
海人
…でもッ!何回も言ってるようにッ!
紫耀
じゃあ俺は教師という立場を辞める
海人
え…



辞める、?
俺のためだけに、?
いや、そのくらいの覚悟があるってことなのかもしれない



海人
…辞めたら毎日会えなくなるじゃないですか
紫耀
うん、そうだね
紫耀
でも、そのくらい髙橋のことが好きだから
海人
…俺は辞めてほしくないです
海人
……俺だって、そのくらい平野先生のことッ、!



海人
好きだから…



紫耀
…!



プリ小説オーディオドラマ