第56話

55,引き合う
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2022/04/27 15:00 更新
ダッシュで公園へ。

この間行ったときは
満開だった桜が

もう散って、
緑色の葉がわさわさと
揺れていた。
影山さんを待つ。
わたしの声、
ちゃんと伝わったんだ……
ばぁちゃんからの
メールを見返し終わった頃

彼が来た。
ゲホゲホ噎せながら来た。
影山さん
どうかした!?
肩で息をしながら
手を動かした。
わたしは
ポケットから
二本の紐を取り出した。

二本の紐には、
二ヶ所の結び目がある。
それを、彼に渡す。


両端を引いて
結び目をくっつけ、
相手に渡したら

承諾の意志を
伝えたことになる。



彼はそれをほどいた。
あなた
!!!!
そして、
もう一度
綺麗に整えられた指で
結び直して

わたしに渡した。
わたしは
紐の両端を引いて
結び目をくっつけ

影山さんに渡した。
彼は笑いながら
それを受け取った。

自然と
わたしも笑みが溢れる。


夜の木しかない公園で
二十歳過ぎた大人が
ただ笑っているだけというのは

なんとも
シュールな光景……
通り越して
ホラーな光景であるが、
今くらいは、
良いとしましょう。









シュールでホラーだが、
ベンチに座って
ゆったりと流れる時間を
楽しんだ(?)が、
もう一度実家に
戻るわけにはいかないが
影山さんと
まだ一緒にいたいと
思ってしまう……
どうしよう。
影山さんは
黙って遠くを見つめた。

ぼてっとわたしの肩に
頭を乗せてうとうとしている。
あなた
帰りますか?
眠そうなので
そう聞いてみると
あからさまに
嫌そうな顔で
首を振った。
嫌なんだ……(笑)
すると、
すくっと立ち上がり

わたしの手を握って
すたすたと歩き始めた。
え?!

どうしたの?
公園を出て、

バス停を通り過ぎ、

ファミマを通り過ぎ、

コインランドリーを
通り過ぎ、

通ったことのない
道を通って、

知らない建物に入る。
階段も先程の平地と
同じように上り、

とある部屋の前で止まり、

片方の腕で
ポケットをごそごそと。

鍵を差し込み、
扉を開ける。
影山さん
今日、移住した。
移住て……
今日だったのかぁ……

そうだよね。
家なくなるもん……
わたしは来週……

洗面所に通され
手を洗う。
影山さん
だいたい片付けた。
影山さん
テキトーに座っていいよ
床にテキトーに
座っていると、
影山さん
風呂、沸いたから入れ
は?
風呂?
影山さん
汗かいてるから。
あ、はい、
すいません、
あなた
ありがとうございます?
風呂に入って、
有り難くシャンプーから
着替えとドライヤーまで
お借りし、
さっきのリビングに戻ると
ニュースを見ながら
ストレッチしていた
影山さんは、

わたしが扉を開けると
こちらを見て、
すくっと立ち上がり
自らも風呂に行った。




な、なんなの?!
どゆこと?!

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