_類side_
「黒百合のセカイ」にある広間
彰人にもらったアイスキャンディを食べながら問う
買い出し…
穂波もまふゆも、大丈夫なのかな…
探して来たら?と微笑むメイコさん
それに、こっそり行きたい所があるし
ちょっと不満そうな顔を見せる彰人に心の中で謝って広間を出る
キィ…バタン
どうしよう…先に庭に行こうかな
まず玄関から近い方の庭に行く
誰もいない代わりに、綺麗に咲いている花たちが風に揺れている
そして庭を出ようとすると、ふと一輪の花が目に留まる
萎れて花びらが少し茶色く燻んでいる
この花は確か…
花言葉は…
「裏切りの恋」
その時
ふと音がする
動物…?
地面いっぱいに敷き詰められたように生えている草の上に腰を下ろすと
ぴょこぴょこと近付いてきて
もふっ と膝の上に飛び乗って来る
思わず笑みが溢れる
優しく撫でると、もっともっとと言うように頭をぐりぐり押し付けてくる
膝から下ろして立ち上がる
歩き始めると、またぴょこぴょこと着いてくる
しゃがんで手を出すと、ぴょんと飛び乗る
一度うさぎを下ろし、翁草の元に歩く
翁草に手をかざし、呟く
花が光に包まれて、後に残ったのは
凛と咲いた藤紫の花
再びうさぎを抱き上げ、今度こそ反対側の庭へ向かう
__この時
やっぱり彰人に一緒に来てもらえば良かった、なんて
思ってなかったんだ
「晩ごはん」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!