あれから、私は見る度に四葉という存在を
気にし始めるようになった。
廊下を通る時も、合同体育の時も。
日南乃達と喋っている時も、気になってしま
う。
「…ねぇ、祈。」
「え?あ、何?」
休み時間。
ふと、日南乃が顔を覗き込んでくる。
「祈さ、成瀬さんの事好き?」
「…え?」
どうして、透さんの名前が?
「だってさー、最近ずっと四葉の事見てるか
ら。」
うっ。
さすが、鋭い…。
でも、どうして四葉と透さんなの…?
関連性が分からない…。
「四葉を見てたら、なんで透さんの名前が出
てくるの…?」
「えっ…?知らないの!?祈。」
「…何を?」
「マジかー。じゃあ、別に好きとかじゃ無い
って事かー。」
さっきから何を言ってるの、日南乃。
「ごめん、頭が追い付かない…。」
「あー、ごめんごめん。四葉と成瀬さん、付
き合ってるからさ。」
…えっ?
え?
「えぇっ!!そうなの!?」
思わず大声が出る。
「うるさいなぁ。」
「あ、ごめん。でも、四葉に先輩の彼氏がい
るとは聞いたけど…。」
まさか、透さんだったなんて。
この間までは、四葉に彼氏がいる事すら知ら
なかったのに。
日南乃の情報収集の速さ、恐るべし…。
「祈、成瀬さんと仲良いじゃん。なのに、教えて貰ってなかったの?」
「うん…。透さんとは、あんまり、そういう恋愛とかは、話さない、から…。」
ちょっとショックだな。
なんでだろ。
やっぱり、ずっと仲の良かった先輩に、彼女
がいるって分かったからかな。
しかもその彼女は、好きな人に、ヤケにくっ
ついている隣のクラスの子…。
ん?
私、今、涼佑を好きな人って思った…?
「まぁ、四葉は結局男好きって事よね。」
「えっ?」
「だって、ほら。」
ん!と日南乃が窓の外を指差す。
B組がぞろぞろとグラウンドへ出て来る。
次、体育なのかな。
…あっ。
日南乃が指す方向には、四葉と…。
やっぱり、涼佑がいる。
ドクン、とまた心臓が鳴る。
あんなに近くで、2人でずっと喋ってる…。
涼佑、楽しそう。
胸が痛くなってきた。
ジワリ、と痛みが広がっていく。
思わず目を逸らした。
「彼氏いるって言うのにねぇー。」
…ほんと、そうだよ。
毎回見る度に、四葉は涼佑と一緒にいる。
明らかに、透さんより涼佑の方が好きそう。
せめて、付き合ってる相手が透さんだって
事だけは、知らないでいたかったかも…。
そうしている内に、チャイムが鳴った。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!