場地からメッセージが送られてきて見てみると、
『千冬に会った』と表記されていたから、慌てて車を用意し、位置情報を辿って駆けつけた。
場地と少し離れたところで会話をする、オレと千冬。
オレは千冬と一言交わした後、スマホの画面を
タップした。
密かに繋いでいた通話が切れる。
…オレはそこまで言って、言葉を止める。
長くなったけど、オレらが思っていることを全て話す。
千冬に思いは、届くだろうか…。
… 良かった。納得してくれたみたいだ。
そう言って、スーツの内ポケットから白い封筒を取り出して、千冬に渡す。
数年前から3人で、1年が終わる日にその1年で思ったことを綴った、紙の束。
いつか、昔の仲間達に会うだろうと思って書いた、手紙のようなもの。
封筒を受け取った千冬は持っていた鞄にそれを直す。
そう呟いてオレは、顔を背けている千冬の首に、細い注射針を刺した。
万が一の時の為に常に持ち歩いてる、睡眠薬と一部の記憶を忘れさせる薬を混ぜたもの。
ゆっくりと、中の液体を身体に注入していく。
と小さく呟いて倒れていった千冬の身体を支え、
針を抜く。
しんみりとした空気の中、オレら2人は言葉を交わす。
千冬をオレが、場地を三ツ谷が抱き抱えながら、路地裏の向こうに止めてある車の元に向かう。
2人を後部座席に乗せ、オレらは前に乗る。
ルームミラー越しに後ろに乗る2人を見ながら、三ツ谷が呟く。
エンジンを掛けながら、脳内にマイキーやパー、一虎…その他の連中の顔を思い浮かべる。
そう呟いて、オレは車を発進させた。
F i n_______
《補足:千冬に打った薬について》
○睡眠薬と一部の記憶を忘れさせる薬を混ぜたもの
・組織内の薬物班が作った薬。
液状の薬である為、服薬の際は飲むか、注射器で体内に入れるかのどちらか。
幹部内での所持者は、鶴蝶・龍宮寺・場地・三ツ谷・
ナホヤ・灰谷兄弟・稀咲・半間・明司・九井。
(主に取引やスクラップ担当のメンバー)
服薬されたものは、服薬前の2~3 時間前までの記憶を失う。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。