Winter Side
事前収録を終え、ちょっとぼーっとしている時間。
ふと横を見るといつものお姉さんっぽさは無く、無防備で可愛いえりおんにの寝顔がそこにあった。
えりおんにの事が好きな私は、心臓がぐー、っとなるのを感じながらその寝顔を見つめる。
……ぁ、毛布持ってきてあげたほうがいいかも。
2人できょろきょろ周りを念入りに見るが、毛布がある様子は微塵もない。
じみんおんににそう言われ、微妙な声しか出ない。
いや、まぁなんか前からじみんおんににはバレてそうな気がしてたんだよなぁ……
「じみんおんにのでも良いんじゃないですか?」
と言いかけた時に、ふと頭の中で
" 全然アプローチできてない “
と昨日の夜、一人ベッドの中で考え、落ち込んだのを思い出した。
ふわっとえりおんにに自分の服をかけると、何故かやってやったぜ、みたいな感情が私を覆った。
じみんおんにが居なかったらしてなかったくせに、と私の心の中にいる本心の皮を被った嫌味が突っついてくるが、今はそんなの気にする事もない。
広い控え室にえりおんにと2人きり。
おんにが起きてたらドキドキしながらお喋りとかしてたんだろうが、あいにく起きる様子は無い。
……ちょっと顔覗いてみようかな。
でも起きちゃったらどう言い訳しよう。
いや、考え過ぎるより行動!!
じぃっとえりおんにの寝顔を見つめる。
相変わらず綺麗だ。本当に。
何かしたい。起きていないうちに、何かやったぞという足跡を付けておきたい。みたいな考えが頭をよぎる。
流石にやりすぎか……
何かしたい、という考えが足掻くように、無意識にえりおんにのさらさらな髪の毛を手櫛でといてみたり、白くて綺麗なおんにの手と私の手の大きさを比べてみたり。
突然虚しくなってえりおんにの膝におでこをくっ付けて項垂れる。
すると突然頭にぽん、という感覚が伝わった。
バッと上を向くと、まだ眠たそうな顔のえりおんにがにこーっとしながら私の頭に手を置いてよしよししていた。
えりおんにからふわふわした感じがする。
可愛い……
突然のことでビックリしたのと、えりおんにの雰囲気に飲まれてしまったので、完全に嘘だと分かる馬鹿みたいな解答をしてしまった。
まだ私の頭を撫で続けるえりおんに。耳が痛いほど熱くなるのを感じる。
マジでズルすぎる。
この笑顔に勝てる人なんてこの世にいない。
…今日はちょっと強気に行こう。
一瞬少しだけ目を見開いたと思えば、直ぐにさっきのにこーっとした顔に戻って、私にとって最高の答えをくれた。
心の中では留まらないくらい嬉しさが溢れ出す。
いや、ちゃんと留まらず「やった!」とは言ってしまった。
またえりおんにの言葉に心が振り回される。
これからもずっと続くと思う。
それでも、私はえりおんにに振り回されにいくだろう。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。