楡井を引っ張って避けた窓際には、
気付けば蘇芳も居た。
その言葉を皮切りに、蘇芳はあまり
事情を知らない桜や俺に
聞こえるように語り始めた。
ただ、その合間も二人のケンカは続いて行く。
そう言った瞬間、桜がスッと後ろに
転ぶように体制を崩した。
そう思った時には、もう行動は起こっていた。
桜がブリッジをするかのような体制で
そのままの流れで床に手をつき、
そして足を振り上げ杉下に
当ててからくるっと元に戻った。
お陰で杉下はグロテスクな感じに
なりながらも鼻血を拭っている。
そう言って桜は乱れた制服を少し整えた。
再開と言わんばかりに二人して
殴り掛かろうとしたその瞬間、スピーカー
から陽気な声がした。
突然聞こえてきた声に楡井は
キョロキョロと辺りを見渡し、
様子を過度なまでに伺い、
蘇芳や他の奴らは少しびっくりと
したような、ハッとしたような顔をしている。
そして、少しスウッと息を吸うような音が聞こえたと思った次の瞬間
め、めっちゃびっくりして声が出てしまった………
そして、放送ではその後も普通の
会話が入ってしまっている。
良い加減桜の堪忍袋の糸が切れそうだな
と思った時、杉下を始めあの蘇芳でさえ
真面目に話を聞く態度になっている。
ボウフウリン総代……一体どんな
ことを言うのだろう、そう身構えていた
自分含め周りは、その言葉で
一気に毒気を抜かれたか
のような気持ちになっただろう。
自分とは無縁過ぎて実に笑えてくる。
そんな総代の言葉を受けて、その場に
いる全員が桜と杉下を見た。
杉下は否定するように鼻血を拭っているし、
桜は相手からだと否定している。
だが、そんな雰囲気も一瞬で終わった。
その場に居たほぼ全員がそう叫ぶ。
俺と桜のような余所者は、その行為に
驚きを隠さないでいる。
そうして総代からの話が終わると、
二人が仲直りの握手をしたりでわちゃわちゃと
雰囲気が柔らかくなり始めた。
なんか巻き舌がえげつねぇ先輩に呼ばれて
外に行くことになりました()












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。