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第1話

prolog
968
2025/03/22 04:59 更新
───現在時刻
     午前4時半
薄暗いこの部屋は
毎日、キッチンにだけ
明かりを付ける。
さっきまで同じベッドで
一緒に寝ていた君は
薄い、狭い壁を背にして
こちらを感じ取っているのだろうか。











疲れた君を
起こさないように、
なんて…
居候の分際なのに。
そんなことを考えながら
俺は、
朝食をつくり終えて
君の元に行く。



足を踏み込むたび

君との記憶を思い出す
それで、
罪悪感と嫌悪感が滲み出る。
だけど、
君との距離が近くなる
だから、
この瞬間もいいなと思える。





君の紫の髪に触れて一言
あなた
おはよう道満
なんて言うと

君は、俺の手をどけて
蘆屋道満
…はよ
だってさ。
そんな風に
周りには見せない君が、
俺は堪らなく愛おしいと思う。






毎朝
朝食は一緒に食べる
道満の食べ方は
昔と違って丁寧で、
少し寂しい。
蘆屋道満
何こっち見てんだ
見下した様な顔で
こっちを見る
あなた
んー、見ちゃダメ?
蘆屋道満
…別に良いけど早く食べろ
少し…照れてる
幸せ…
あなた
はいはい








あなた
ねえ道満?
蘆屋道満
あ?
あなた
ちゃんと野菜食べな?
蘆屋道満
…やだ
図星だとでも言うような
苦し紛れの言葉。
あなた
一口!一口でいいから
なんて、
蘆屋道満
……
あなた
せっかく俺が作ったのに…
こう言えば
蘆屋道満
分かった一口な
食べるくせに。
あなた
ありがと道満
蘆屋道満
ほらよ、食った
蘆屋道満
後はお前にやる
あなた
お前?
蘆屋道満
…あなたの下の名前
あなた
よし!
あー可愛い
もう間接キスに照れないのは
少し悲しいけれど…

それも成長だよな











朝食の片付けをしていたら
後ろから手が伸びてきた。
あなた
何?どうしたの?
食器を洗う手は止めず、
道満の声に耳を傾ける。
蘆屋道満
…小さい
あなた
あぁ?
皮肉にも俺は180㎝ほどしか背がない。
…道満は俺を後ろから抱きながら
俺の頭に顔を擦りつけている。
蘆屋道満
いや…
言動だけで可愛い。
…顔が見れないのが残念で仕方がない。
あなた
…誘ってる?
蘆屋道満
…そうだって言ったら?
困らせることを言う。
いや、これも計画済みなのか?
あなた
うーん…
考えるような素振りをして、
手に付いた泡を流す。
水道を止めて
道満の質問に答える。
寝癖が付いた髪と
くっきりと痣の付いた顔に
まだ濡れたままの手を添えて、
口を付ける。
あなた
チュ
蘆屋道満
っ…////
あなた
これで夜まで我慢して?
蘆屋道満
分かったよ…
俺にちょっかいをかけた後、
道満は残念そうに
少し照れながら
着替える
あなた
……
道満と俺が会ったのは1000年前。
俺は気付いたら道満と居て、
一緒に晴明に拾われた。
だけど、
俺が居候し始めたのは
1年前。

ちゃんと働いてたんだけど、
なんか嫌になって
前の会社は辞めた。

行く当てが無くなった俺に、
道満は一緒に暮らそうって
言ってくれた。
蘆屋道満
こっち見んな!
あなた
ごめんってぇ
そう言って、
櫛(くし)で道満の髪をときに行く。
蘆屋道満
大体お前が…ブツブツ
あなた
…
照れ隠しの言い訳並べも
そういう態度も
言動も
愛おしい。
愛おしくて、触りたくなる。
その細い腰に、
手が伸びる。
蘆屋道満
ぴゃ!
いつもじゃ想像できない
拍子抜けな声に、
笑いが込み上げてくる。
あなた
www…
蘆屋道満
もう…あなたは……
あなた
え?もう学園長モード?
蘆屋道満
別にいいでしょう
蘆屋道満
私はもう行きますからね
そう言って、神通力で学園に行こうとする。
道満が学園長だなんて
今でも信じられない…
あなた
ねぇ、今日は金曜日だから
蘆屋道満
っ…///分かってるよ
あなた
じゃ、いってらっしゃい
蘆屋道満
ん…
道満の姿が見えなくなると、
俺の仕事が再開される。

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