───現在時刻
午前4時半
薄暗いこの部屋は
毎日、キッチンにだけ
明かりを付ける。
さっきまで同じベッドで
一緒に寝ていた君は
薄い、狭い壁を背にして
こちらを感じ取っているのだろうか。
疲れた君を
起こさないように、
なんて…
居候の分際なのに。
そんなことを考えながら
俺は、
朝食をつくり終えて
君の元に行く。
足を踏み込むたび
君との記憶を思い出す
それで、
罪悪感と嫌悪感が滲み出る。
だけど、
君との距離が近くなる
だから、
この瞬間もいいなと思える。
君の紫の髪に触れて一言
なんて言うと
君は、俺の手をどけて
だってさ。
そんな風に
周りには見せない君が、
俺は堪らなく愛おしいと思う。
毎朝
朝食は一緒に食べる
道満の食べ方は
昔と違って丁寧で、
少し寂しい。
見下した様な顔で
こっちを見る
少し…照れてる
幸せ…
図星だとでも言うような
苦し紛れの言葉。
なんて、
こう言えば
食べるくせに。
あー可愛い
もう間接キスに照れないのは
少し悲しいけれど…
それも成長だよな
朝食の片付けをしていたら
後ろから手が伸びてきた。
食器を洗う手は止めず、
道満の声に耳を傾ける。
皮肉にも俺は180㎝ほどしか背がない。
…道満は俺を後ろから抱きながら
俺の頭に顔を擦りつけている。
言動だけで可愛い。
…顔が見れないのが残念で仕方がない。
困らせることを言う。
いや、これも計画済みなのか?
考えるような素振りをして、
手に付いた泡を流す。
水道を止めて
道満の質問に答える。
寝癖が付いた髪と
くっきりと痣の付いた顔に
まだ濡れたままの手を添えて、
口を付ける。
俺にちょっかいをかけた後、
道満は残念そうに
少し照れながら
着替える
道満と俺が会ったのは1000年前。
俺は気付いたら道満と居て、
一緒に晴明に拾われた。
だけど、
俺が居候し始めたのは
1年前。
ちゃんと働いてたんだけど、
なんか嫌になって
前の会社は辞めた。
行く当てが無くなった俺に、
道満は一緒に暮らそうって
言ってくれた。
そう言って、
櫛で道満の髪をときに行く。
照れ隠しの言い訳並べも
そういう態度も
言動も
愛おしい。
愛おしくて、触りたくなる。
その細い腰に、
手が伸びる。
いつもじゃ想像できない
拍子抜けな声に、
笑いが込み上げてくる。
そう言って、神通力で学園に行こうとする。
道満が学園長だなんて
今でも信じられない…
道満の姿が見えなくなると、
俺の仕事が再開される。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!