3年振りに向かったのは廃校になった小学校 。
まだ幼かった俺たちが過ごした思い出の場所だ 。
かけっこでよく勝負していたグラウンド 、
人気過ぎて休み時間の度に行列ができてたあの遊具 、
怪我しやすい俺がお世話になってた保健室 、
皆で授業を受けた教室 。
懐かしさを覚えながらも 、最後にたどり着いたのは屋上 。
親と喧嘩した時や 、嫌なことがあった時は 、
アイツとここに来ていた 。
いわゆる秘密基地ってやつ ?
出入り禁止なのにも関わらず出入りしていた俺たちって
かなりやばいな 。なんて思ったりもする 。
「 懐かしいね ~ 。 」
『 ああ 、そうだな 。 』
「 ていうか 、小学生の時から屋上使ってたとか
私たちって結構問題児 ? 笑 」
久しぶりにアイツの笑顔を見た気がする 。
別に今まで1度も笑っていなかったわけじゃない 、
多分あれは作り笑顔だったんだと思う 。
自然に笑うアイツはやっぱり可愛いかった 。
そう思うと同時に目頭が熱くなった 。
「 え ! ちょっと湧 ! 何泣いてるの ?! 笑 」
『 う 、うるせぇ ! 』
なんてからかってくるアイツも泣いていた 。
でも笑っていた 。2人とも 。
そのままどちらからともなく抱き合い 、
声を押し殺しながら泣いた 。
寂しかったから ? 悲しかったから ?
違う 。何処か懐かしくて 、何故か暖かかったから 。
この時ばかりは 、何も知らず幸せだったあの頃に
少し戻れた気がした 。
そして俺たちの影が重なった 。
……… 正確には俺が " 押し付けた " が正解か 。
当然アイツは驚いてた 。でもその後すぐ 、
「 ごめんね 。 」
そう言ったアイツの涙を拭った 。
自然と悲しくはなかった 。むしろすっきりした 。
その後俺たちは長い時間抱きしめ合った 。
理由は分からない 。
ただ離れたくなかったんだと思う 。お互いに 。
『 怖い ? 』
「 … ちょっとね 。 」
『 そっか … 。 』
別にこの選択が正しいなんて思ってない 。
でも俺たちにはこれしかなかった 。
だって幼馴染だからさ 、
どっちかが困ってたら助けたくなるでしょ ?
俺は 、「 アイツを好きになってしまった罪 」を 。
アイツは 「 あの人を忘れられなかった罪 」を 。
償えそうにないから 。
なら 、いっそ二人でこの世界に溶けて、
消えてしまえばいい 。
頼って欲しいと願った結果がこんなに残酷でも 、
アイツが喜んでくれるなら別に悪くない 。
これが惚れた弱みってやつか 。
なぁ 、あなた 。
あなたと過ごした時間 、恋した時間 、
それに苦しんだ時間 、辛かった時間 、1人で過ごした時間 、
全て俺の大切な思い出だよ 。
小さい頃から一緒に居たから、
俺の思い出の記憶には必ずお前が居た 。
そしてこれからもずっと俺の隣に居てくれると思ってた 。
この先どうなるかなんてわかんないのにね 。
お前を好きになった時 、正直びっくりした 。
でも今までを振り返ると思い当たる節が何個かあったんだ 笑
何回もあなたに気持ちを伝えようとしたけど 、
「 もしこれで今まで積み上げてきた関係が崩れたら ? 」
「 あなたの隣にいられなくなったら? 」
って考えたら 、
弱い俺は 、この気持ちを隠し続けて
あなたの隣に居続ける事を選んだ 。
いや 、これしか出来なかった 。
その結果がこれだもん 、笑っちゃうよね 。
だから 、あなたがあの人の元へ行った時
どうすればいいか分からなかったし 、
あなたが隣に居ない時間はめっちゃ辛かった 。
でも何より困った時に頼ってくれなかったことが1番辛かった 。
俺の前で全然弱いとこ見せてくれないんだから 笑
あなたは俺にとって大切な幼馴染だから 、
少しくらい頼って欲しかったなって 。
でもこうやって最後に頼ってくれて嬉しかったよ 。
さっきは困らせてごめんね 。
こうでもしないと 、
俺ずっとここから動けないような気がしたから 笑
今でもあなたのこと好きだし 、世界一愛してる 。
俺の気持ちが届かないのは分かってるけど 、
これだけは知ってて欲しい 。
" 次はお互い幸せになろうな 。 "
『 じゃあ … 行くよ 。 』
「 …… うん 。 」
お互いの体温を感じるられるように 、忘れないように 、
強く抱き締め 、俺たちはこの世界に溶けていった 。
夕日が綺麗だった 。
それに照らされるアイツも綺麗だった 。
『 ……… 愛してるよ 、あなた 。 』
勿論アイツが何か言うことは無かった 。
これでいいんだ 。
スローモーションの様にゆっくりと 、
世界に溶けていく俺たちを肌で感じながら考える 。
ほんとにこれで良かったんだろうか 。
でもこれ以上この世界に居る事はお互い耐えられなかった 。
どうしようもなかったんだ 。
全身が酷く痛いよ 。
もうどこが痛いのかも分からないや 。
ああ 、もう日が暮れちゃったみたい 。少し肌寒いね 。
薄れる意識の中 、俺の腕の中で眠るまだかろうじて暖かい
アイツの体温を感じながら俺も眠りに着いた 。
次 、目覚めた時は幸せになれると信じて 。
でも 、アイツの薬指に光るリングを外す気力は
" 俺には無かったみたいだ 。"
「 ねぇ 、湧 。
________________________ 私 、空飛びたい 。 」
𝖾𝗇𝖽 .












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。