第3話

盟友と恋情と。
27
2024/01/29 06:00
僕には2人だけ、この秘密を知る親友が居る。
正確には、姉さんの親友を含めて3人。
それ以外に、僕達の秘密を知る、一族以外の人間は居ない。
永門青蓮華
永門青蓮華
…鴉鵜嵯、最近大丈夫…?
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…何が?
永門青蓮華
永門青蓮華
…最近、少し力使ってるんでしょ?危険なんじゃ…
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…ホントに隠し事出来ないな…
永門青蓮華
永門青蓮華
職業柄、こういうの見抜くのは得意だから。
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…最悪僕だけならバレてもいい。姉さんを守る為に使ってるんだから。
永門青蓮華
永門青蓮華
…あのストーカー?
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
あぁ…ホントウザいよアイツ…
永門青蓮華
永門青蓮華
…アイツ最近僕に当たり強いんだけど…何なの…?
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…お前の事、姉さんが好いてるから。
永門青蓮華
永門青蓮華
…それだけで…?
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…多分だけどね…
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…僕としては、姉さんからの好意に気づいてるんならさっさと付き合って欲しいんだけど。
永門青蓮華
永門青蓮華
…蕾咫の方から言ってくれるまで僕は知らないよ?
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…面倒な奴だなお前…
永門青蓮華
永門青蓮華
いやね?…僕、仮にも芸能人だし…それに、別でも同じような事言われてるからさ…はっきり言って僕の一存じゃ決められない。
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…なら仕方ない…か…
永門青蓮華
永門青蓮華
…っていうか鴉鵜嵯も、蕾咫の事言えないでしょ。
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
え?
永門青蓮華
永門青蓮華
…雪華の事。僕が気付いてないとでも?
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…雪華の運命の人は僕じゃない。
永門青蓮華
永門青蓮華
え?
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…僕みたいな異常な存在と一緒じゃ、雪華は幸せになれない。
永門青蓮華
永門青蓮華
…鴉鵜嵯、異常な存在って言うんなら…あまり言いたくないけど、蕾咫も同じだよ。
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…姉さんは、お前と一緒なら大丈夫だよ。
永門青蓮華
永門青蓮華
…僕の事何だと思ってるの…
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
僕の知る限り一番信頼のおける男だけど?
永門青蓮華
永門青蓮華
…そう。
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…そういえばだけど、雪華は…最近どうなの?元気?
永門青蓮華
永門青蓮華
…事務所では元気に振る舞ってるけど…
永門青蓮華
永門青蓮華
…多分学校で、何かある。
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…どういう事?
永門青蓮華
永門青蓮華
…雪華がいつも持ち歩いてる日傘あったでしょ?
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
あぁ…あれか…あれがどうした?
永門青蓮華
永門青蓮華
…壊されて直されたみたいな跡が何箇所かあって…
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…は…?
永門青蓮華
永門青蓮華
…雪華自身にも、見えないようにしてたけど痣とかあったし…
永門青蓮華
永門青蓮華
…虐められてるのかな、僕たちには察して欲しくないみたいだけど…
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
永門青蓮華
永門青蓮華
…怒っても暴走はしないでよ?
永門青蓮華
永門青蓮華
…僕だって、一番の盟友を傷つけられて怒りしか無いんだ。
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…分かってる…分かってるよ…
永門青蓮華
永門青蓮華
…そろそろ僕は帰るよ。また明日。
繰慧鴉鵜嵯
繰慧鴉鵜嵯
…ああ。また。
〜side 蕾咫〜
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
色々と盗み聞きするのは、私の悪い癖だ。
…恋情がバレていた事…鴉鵜嵯が気にしていたのは私のストーカーのこと…まぁ、予想はしていたけど…
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…雪華ちゃんの学校ってどこだっけ…
私は先に、2人が危惧していたところに向かう事にした。
御上透華
御上透華
…今日もまた…
御上透華
御上透華
…私はあの子と仲良くなりたいのに…なんで私にやらせるの…
向かった学校で見たのは、雪華ちゃんではなく、昔の親友の姿だった。
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…透華ちゃん?
御上透華
御上透華
…え?蕾咫ちゃん…?なんでここに…
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…私は、雪華ちゃんのことをここの学校の人に聞きに来たんだけど…
御上透華
御上透華
…え?
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…なんで泣いてるの…?
御上透華
御上透華
…私が。
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
え?
御上透華
御上透華
私が虐めの、形式上の加害者だからだよ…
それを聞いた瞬間、訳が分からなくなった。
私の親友は、そんなことをするような子じゃない。
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…何か事情があるの?
御上透華
御上透華
…脅されてるの。
御上透華
御上透華
…誰かに、相談してること聞かれたらまずいから…じゃあ…
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
待って。
御上透華
御上透華
…え?
この子は私の親友だ。事情は聞けないにしても…
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…久しぶりに会ったしさ。気分転換にどこか一緒に行かない?
悲しんでいる姿は見過ごせないと思った。
御上透華
御上透華
御上透華
御上透華
…そう、だね。せっかくだし…
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
じゃあ行こ〜!
私はただ、気晴らしにでもなればと思った。
久しぶりに会って、何を話していたのか…
御上透華
御上透華
…最近私、好きな人ができたんだ。
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
そうなの?叶うといいね。
御上透華
御上透華
うん。お父様の事務所で役者として働いてる、私と同い年の人でね…
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…え?
御上透華
御上透華
ん?どうしたの?
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…なんでもないよ。
…私があまり知らないだけかも知れない。けど…
私が思いついたのは、1人しか居なかった。
御上透華
御上透華
…雪野さんの盟友らしいから、相談にも乗ってもらってるんだよね。
…ああ。やっぱりだ。
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…その人って、青蓮華?
御上透華
御上透華
え?そうだけど…知ってるの?
…この子は私と気が合うみたい。好きな人も。
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
中学同じでね。友達なんだ〜。
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
私の弟とは特に仲良いし。
…私は、言わないでおこう。
御上透華
御上透華
…永門さんってモテてそうだけど…私頑張りたいな。出来ればお父様の力は借りずに。
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…多分だけど、青蓮華は特に何か無くても、透華ちゃんを選ぶと思うよ。
御上透華
御上透華
…え?
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
他の子より先に透華ちゃんが想いを伝えたら、だけど。
…私がやろうと思っても、どうしても出来ないことだ。
御上透華
御上透華
…そうなの?…何かそう言える理由とか…
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
鴉鵜嵯と話してるの聞いたの。
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…青蓮華って、自分への好意に敏感だからさ。気づいてると思うよ。
御上透華
御上透華
御上透華
御上透華
…蕾咫ちゃんってさ、いつから永門さんと知り合いだったの?
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…小学生の頃。鴉鵜嵯が友達になったって、家に連れてきたことがあってね。
御上透華
御上透華
………
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…いきなりそんなこと聞いてどうしたの?
御上透華
御上透華
…もしかしてだけどさ。…蕾咫ちゃんも、永門さんのこと…
…あぁ。しまった。
私は御上の事務所に行った事もある。あんなに的確に優秀な人材を集められる人の娘が、洞察力が低い訳が無い。
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…大好き、だよ。…友達として、ね。
それは精一杯の嘘だった。
御上透華
御上透華
…蕾咫ちゃん…
自分でも、いつから恋していたのか分からない。
でもそれには確かな理由があった。
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…青蓮華は、鴉鵜嵯が心を許せる数少ない友達なの。
御上透華
御上透華
…え?蕾咫ちゃんの弟?
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
うん。鴉鵜嵯が"盟友"って呼べる相手。それが青蓮華と雪華ちゃんの2人なんだ。
御上透華
御上透華
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…私はね、鴉鵜嵯が幸せならそれでいいの。
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
仮に私がどんな目に遭ったとしても、あの子の幸せが私の幸せだから。
繰慧蕾咫
繰慧蕾咫
…だから青蓮華の事は、鴉鵜嵯を笑顔にしてくれる友達として、大好きなの。
御上透華
御上透華
…そうなんだ。
繰慧 籭鸝
繰慧 籭鸝
…弟想いな奴だ。本当に…
繰慧 籭鸝
繰慧 籭鸝
…檬榴陀の子なのだから当然か。
繰慧 籭鸝
繰慧 籭鸝
…せめて、安らかに…
瑠梨竜胆
瑠梨竜胆
…?
繰慧 籭鸝
繰慧 籭鸝
…お前はさっさと行動しろ。
瑠梨竜胆
瑠梨竜胆
…はい。
繰慧 籭鸝
繰慧 籭鸝
…あのような者に好かれるとは難儀だな…
繰慧 籭鸝
繰慧 籭鸝
…あんな力さえ持っていなければ、幸せに生きられただろうに…

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