第2話

𝟸
2,338
2022/08/26 11:33





高橋恭平
大吾くん...ちょっといいですか






みんなが丈橋を祝っている中、ひとりだけ浮かない顔をした彼が後ろから声をかけてきた。


西畑大吾
ん、ええよ。外出ようか
高橋恭平
はい...
















廊下に出て楽屋から少し距離のあるトイレに入る。





高橋恭平
大吾くん、どうしよ...俺、




誰も近くにいないことを確認して、恭平が泣き出した。





高橋恭平
2人、もうそんなに進んでたんや
西畑大吾
俺も知らんかった、びっくりしたわ











嘘、本当は知っとった。





はっすんがにこにこしながら毎日話していた丈くんの裏話。



俺らの知らん丈くんを、はっすんは沢山知っていた。





でも、心のどこかで結ばれないでほしいって思っとったのかも。





それやったら、恭平やってこんな泣く必要なかったやろ?







西畑大吾
恭平、無理したらあかんよ
高橋恭平
...まだ戻りたくないっす
西畑大吾
落ち着くまで泣き
高橋恭平
ごめんなさい...








半年近く前、恭平からはっすんのことが好きって伝えられた時は、そうやろうなって。





俺、こうゆう勘結構鋭いんやで?







「大吾くんやって好きな人おりますよね?」って、俺が流星のことが好きってバレとったのは焦ったけど。







「同性愛者同士、分かり合えると思うんです」


「やから大吾くんに伝えようと思った」










それから、俺らはお互いの恋愛相談に乗るようになった。










恭平は、ずっとはっすんのことを見てた。





やから、はっすんが丈くんのことを好きだってことも気づいてた。




















高橋恭平
勝ち目ないってわかっとったけど...
西畑大吾
...恭平?





高橋恭平
隠しててほしかった






泣き止む様子のない恭平の背中を撫でると、少し笑顔になってくれた。





西畑大吾
まだ好き...?はっすんのこと
高橋恭平
...しばらくは忘れられへんかも
















大吾くん、ごめんなさい

こんな勝手に呼び出して泣いて、どうしたらいいかわからないっすよね。

迷惑かけてごめん、戻りましょ










泣き疲れたのかいつもより静かな様子の恭平が突然泣き止んで、俺の腕を引っ張る。





西畑大吾
迷惑やないけど...大丈夫そうなら戻ろか、多分みんな急におらんくなって心配してんで。流星も俺らが楽屋出た時...
高橋恭平
あ、そうやった




恭平が俺の方に振り向いて少し笑顔を作った
高橋恭平
大吾くん、これからもりゅちぇの相談いつでも乗るから声かけてくださいね!
西畑大吾
ああ...うん。なんかごめん、俺だけ
高橋恭平
全然!応援してますから!











なんで、そんな笑顔でいられるんやろ。





空元気やったとしてもすごい。









プリ小説オーディオドラマ