第21話

Story17「魔法の言葉」
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2025/01/23 09:00 更新
夕日が消えて、月が顔を見せる。
つい先程までそばにいたのに、寂しさが心を埋めていく。
司波 仁
夕日と共に消えた瑠衣

ここに、瑠衣がいた証は残っていない。
千里眼とも呼ばれた瞳にも、何も見えなかった。
枯柳杖道
仁、帰ろう
枯柳杖道
私達の、帰るべき場所がある
司波 仁
…そうだな、
帰ろう。
ホークアイズが、いるべき場所に。




踵を返し、砂浜を立ち去る。
二人分の足跡が、砂に静かに残っていた。
警察官さん
ホークアイズの皆様……
何と申すべきか分かりかねますが…
そう言って、警察官は二人を関係者として通した。


死体安置所と言えばいいのか。
そこに、瑠衣の身体はあった。

特徴的な長い髪はバンダナと共に燃えて、
ボロボロと黒くなった灰の肌。切れ端の服。

いつも見た姿とは、違う。とても、悲しくなる姿。



そっと、ひどく優しい手つきで瑠衣を撫でる
俯いた顔では語らず、肩の震えがその心を語っていた。
司波 仁
…るい
枯柳杖道
……
掠れた声

周りにも、決して少なくない死体があった。
仁の見覚えのある顔も、そうでない顔も。
モブ
瑠衣さん…
一人、青年の声がした。
仁と杖道の手先____瑠衣を見る


その声を皮切りに、色んな人が一斉に集まってくる。
モブ
物怪さん…っ、
本当、いつもありがとうございましたっ!
モブ
あの事件、今でも感謝し切れません、
……ありがとう、ございました。
ありがとう。ありがとう。
モブ
この街を、っありがとうございました。
ありがとうございました。
モブ
っ…パルクール、とても楽しかったっス
…ありがとっス、瑠衣さん
モブ
ほんとに……ありがとうございました
本当に、ずっと、ありがとう。
モブ
ずっと、ずーっと、お世話になりました。
モブ
、あの技、見せられなくてすみません
瑠衣の周りに人が集まり、口々にお礼を言う。

中には涙を流す者もいた。

瑠衣の手をそっと取り、感謝を伝える者もいた。

ありがとう、が木霊する。
たくさんの感謝と、思い出が、
たしかに、確かにここに、瑠衣がいた事を__
枯柳杖道
よかったな、仁
枯柳杖道
___瑠衣は、多くの心に残っているみたいだ
司波 仁
ッ……そうだな、おっさん
瑠衣は、この街の人々__仲間の心に、残っている。
姿形は無くなれど、仲間が残した思いには、残っている。
瑠衣はいなくなってない。



魔法のように都合の良い言葉でもいい。
それでいい。きっと良い。



心を落ち着かせる



送り出す側が出す言葉は、一つでいい。
司波 仁
またな、瑠衣
司波 仁
できるだけ、早く帰って来い


「分かってるって」
どこか遠くで、そんな声が聞こえた。


2✕✕✕年 夏。

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