夕日が消えて、月が顔を見せる。
つい先程までそばにいたのに、寂しさが心を埋めていく。
夕日と共に消えた瑠衣
ここに、瑠衣がいた証は残っていない。
千里眼とも呼ばれた瞳にも、何も見えなかった。
帰ろう。
ホークアイズが、いるべき場所に。
踵を返し、砂浜を立ち去る。
二人分の足跡が、砂に静かに残っていた。
そう言って、警察官は二人を関係者として通した。
死体安置所と言えばいいのか。
そこに、瑠衣の身体はあった。
特徴的な長い髪はバンダナと共に燃えて、
ボロボロと黒くなった灰の肌。切れ端の服。
いつも見た姿とは、違う。とても、悲しくなる姿。
そっと、ひどく優しい手つきで瑠衣を撫でる
俯いた顔では語らず、肩の震えがその心を語っていた。
掠れた声
周りにも、決して少なくない死体があった。
仁の見覚えのある顔も、そうでない顔も。
一人、青年の声がした。
仁と杖道の手先____瑠衣を見る
その声を皮切りに、色んな人が一斉に集まってくる。
ありがとう。ありがとう。
ありがとうございました。
本当に、ずっと、ありがとう。
瑠衣の周りに人が集まり、口々にお礼を言う。
中には涙を流す者もいた。
瑠衣の手をそっと取り、感謝を伝える者もいた。
ありがとう、が木霊する。
たくさんの感謝と、思い出が、
たしかに、確かにここに、瑠衣がいた事を__
瑠衣は、この街の人々__仲間の心に、残っている。
姿形は無くなれど、仲間が残した思いには、残っている。
瑠衣はいなくなってない。
魔法のように都合の良い言葉でもいい。
それでいい。きっと良い。
心を落ち着かせる
送り出す側が出す言葉は、一つでいい。
「分かってるって」
どこか遠くで、そんな声が聞こえた。
2✕✕✕年 夏。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!