あれから、ちょうど一年が経とうとしていた。
まだ七月だと言うのに、酷く暑い真夏日。
憎々しいほどの太陽の日を、全身に浴びる街。
そこで、短い髪がなびいていた。
ヨルシカ 様作/雲と幽霊
ぜひ流して聞いてください!神曲です
二人分の喋り声。
ホークアイズは、あれから二人組の異例のハウスになった。
その理由は、瑠衣のいるべき記録者を空席にするために。
二人が考えた案。我ながら、滅茶苦茶だと思ったそうだ。
ネストから反対されることは間違いない。
と考えていたのに、
数日後には正式にネストから承知を伝える旨が届いた。
今だに明確な理由は分からない。
とにかく、鷹のハウスはあれから二人で活躍していた。
二人が向かうのは、墓地。
墓地に行くのは、今日が瑠衣の、
十一回目の月命日だからだった。
十一ヶ月。長くも一瞬の間に、仁の背はかなり伸びていた。
時間と共に大人になっていく姿。
心も同じで、まだまだ成長途中。
瑠衣がいない。
そんな毎日に、仁はごくたまに不安定になる。
上の空になったり、何も喋らなくなったり。
これを、杖道は酷く心配していた
瑠衣を弔うと共に、仁の心を整理させたい。
命日ではなく、月命日に墓参りに行くのは、そんな杖道の 思いからだった。
事務所から少し離れた墓地にて。
比較的は穏やかな風が吹き抜ける。
ホークアイズの事務所に戻り。
さっそく、ガサゴソと棚を漁る仁と、玄関先を探す杖道。
目当ての花を見つけ出し、さあ戻ろうと思った。
__ドン、ドンドンドンッ!!
数回、壁を叩く音が響く。
扉のドアノブを掴み、向こうにいる人影を招こうとして、


勢いよく、押しつぶさんばかりに瑠衣を抱きしめる。
二人の身体が、瑠衣を大切に。しかし力強く抱きしめた。
何という魔法なのだろうか。
いや、魔法ではない。現実だ。
瑠衣に触れれるし、瑠衣は温かい、瑠衣は、透けていない
これは、現実だ。
瑠衣が、生き返って帰って来た。
約束。
あの日、幽霊だった瑠衣とした約束。
瑠衣とした約束の、一つであった、
ホークアイズに、絶対に帰ってくるということが。
それが、果たされたのだった。
そして、もう一つ。
まだ果たされていない約束を、そっと伝える
ぐっと上げて笑ってみせる。
二人は、そんな瑠衣と、短くなった髪をそっと撫でた
瑠衣が生きている、サラサラとして綺麗な髪。
短いが、あの時とは違う、日の色の髪。
髪を撫でていると、
急にハッとし、真剣な…しかし少し心配そうな顔を向ける。
瑠衣は、帰ってきたのだ。
あの日、あの時。いなくなった時から、漸く。
姿こそ、今までの瑠衣とは少し違う。
別れた時の姿で、それでも、瑠衣は帰って来た。
奇跡の再会を、言葉にするには。
どんな言葉にしたら良いだろうか。
そんなの、決まっている
ホークアイズ『瑠衣の帰る場所』完結
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。