第5話

1,323
2022/05/21 15:41
小林幸真
はぁー……
小林幸真
今日もキツかったなぁ……
グゥー
小林幸真
…お腹空いた…
           あの日の事は、今でも鮮明に覚えていた。
???
……ねえ、君。大丈夫?
     あの子は自失していた僕に、声をかけてくれた。
???
お腹……空いてるの?
???
…これ、よかったら食べる?
小林幸真
…え?
小林幸真
だって、これは君の…
???
…ううん、大丈夫。
私…そんなにお腹空いてないの
            その子は僕に、自分の分のパンをくれた。
小林幸真
ぁ、ありがとう…
                           彼女は、優しかった。
???
……ねぇ。名前、聞いてもいいかな?
小林幸真
…ゅき……
小林幸真
………
                         でも、僕は口を噤んだ。
急に、彼女の優しさが、恐くなった。
                    施設の人も…最初は優しかった。

だから、信じていた分、殴られた時は痛かった。

もうとっくに…誰も信じられなくなっていた。
小林幸真
……【ゆうま】
                                 『小林幸真  ゆうま

それが、僕の通り名だった。

いつだって、誰に対しても。
その名前で、今日まで生きてきた。
???
そっか。ユウマ君
                     --でも、この時は違った。
???
…いい、名前だねニコッ
小林幸真
……!
                         僕は、初めて後悔した。

彼女の、太陽みたいな笑顔を目にして。
小林幸真
(ああ、この人には、本当の名前           ゆきさだを伝えてもよかったんだな…)
           胸が、申し訳なさで張り裂けそうだった。
小林幸真
…………あの
???
…ん?
小林幸真
君の…名前は……?
???
…!あぁ、ごめん。私の名前は--
 















久納いろは
久納いろは
--『久納いろは』
ドコンッ!!
氷室
氷室
?!
久納いろは
久納いろは
氷室先生っ……!!
お願いします…幸真を……っ
氷室
氷室
!!これは…
氷室
氷室
内臓の、特に肝臓の損傷が酷い…
氷室
氷室
…直ちに手術を行う。
後は俺に任せていい
久納いろは
久納いろは
ありがとう、ございます……どうか…っ
小峠華太
小峠華太
…姉貴、今は先生を信じましょう。
先生の腕だ、きっと大丈夫ですよ
久納いろは
久納いろは
…うん。ごめんね、華太君…ありがとう
                                   今は、願う。
                          あの時出逢ったままの、
大きくクリクリした、紫がかった眼。
      その目がもう一度、私を映す事ができるように。
-数日後-






小林幸真
小林幸真
……………パチッ
小林幸真
小林幸真
………………?
小峠華太
小峠華太
!!姉貴、兄貴が目を覚ましました!!
小林幸真
小林幸真
…………ぁ
久納いろは
久納いろは
……幸真…っ!!
ギュッ
小林幸真
小林幸真
イテッ゛
小林幸真
小林幸真
……あー、そっか…俺……
小林幸真
小林幸真
…なぁ。俺何日くらい寝てた?
小峠華太
小峠華太
えぇ…3日程……です…
久納いろは
久納いろは
全く………心配したんだから…っ
久納いろは
久納いろは
でも……
久納いろは
久納いろは
生きててくれて、ありがとう…………
小林幸真
小林幸真
小林幸真
小林幸真
………あぁ、俺を誰だと思ってんだ
ナデナデ
小林幸真
小林幸真
………心配かけてごめんな
久納いろは
久納いろは
………グスッ
久納いろは
久納いろは
ほんとに…どこで道草食ってたのよ……
小林幸真
小林幸真
道草か……そーだなぁ…
小林幸真
小林幸真
…「夢」だよ
久納いろは
久納いろは
……ぇ?
小林幸真
小林幸真
……今の俺たちじゃ手も届かない
小林幸真
小林幸真
懐かしい夢だ
作者
読んでいただきありがとうございます!
作者です!
作者
今回は多少のストーリー捏造がありました!お許しください……
作者
次は本編!お楽しみに!
作者
ではまたー!

プリ小説オーディオドラマ