マラソン大会本番が,いよいよ明日に迫った放課後。
すっかり「賞品」扱いの私は,恋愛成就のお供え物みたいになって,クラスの女子の悩める恋愛トークを聞いていた。
わ,わかるんだ・・・・・・。
うっ,決まってるんだ・・・・・・。
最後の叫びはユミちゃんだった。
まりんちゃんの言葉に,わーっと女の子達の鳴き声が重なる。
そ,そうか・・・・・・。あれからどうなったのかなって心配してたんだけど・・・・・・ユミちゃん,ダメだったんだ。・・・・・・ご,ごめん。ドリンク告白のお手伝いがちゃんと出来なかったこと,とっても悔やまれます・・・・・・。
それまで黙っていた結衣ちゃんが,ぽつりと言った。
結衣ちゃん同様,黙っていた蓮華ちゃんがぽつりと言った。
まりんちゃんが,蓮華ちゃんの呟きを引き継ぐように,
・・・・・・そう,なのかな・・・・・・?
高尾が負けたら困る。絶対に勝って欲しい。
だけど,堤君の気持ちは・・・・・・こんな風に切り捨てちゃいけないもの,なんじゃないのかな。堤君の「勇気」には,私が「勇気」で応えなきゃいけなかったのに・・・・・・。
でも,このもやもやした気持ちを,うまく言葉に出来ない。
ずいっと,まりんちゃんが顔を近付けてきた。
近すぎて,私はちょっと後ろにのけぞってしまう。
言葉の出ない私の周りで,蓮華ちゃん以外のクラスの女の子達が絶叫した。
言われたくないよ!そんなこと言われたら,恥ずかしくて気絶しちゃう!
っていうか,待って。キ・・・・・・キス!?
そんなオプション,考えてないんですけど・・・・・・!
ほら!私の隣で,結衣ちゃんも真っ赤になってる!
もーやめてー!結衣ちゃんはすっごい恥ずかしがり屋さんなんだから,そんな刺激的なこと言わないであげてー!
それなのに,まりんちゃんは悪ノリで,ン~~~,なんて目をつぶって見せた。
そんな大騒ぎの教室でひとりだけ,怒りに唇を噛み締める女の子がいた。
・・・・・・心愛ちゃんだ。

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。